お弁当とブラ

※今回の話には性的な描写があります。


次の訪問営業活動は地元でも海に近い地域の隣市だった。

有名自動車メーカーの工場があり、市の半分は農家、もう半分は自動車メーカーの工場勤務か下請け工場勤務かと思うような地域。


そこにある配達女性スタッフが15名程働くセンターが次の活動拠点だ。


担当した女性スタッフは色白で艶のあるロングヘアで、少し有村架純に似た女性だった。

僕は前回のようになることを戒めて、あまり個人的には関わらないように営業活動をした。


そこのセンターにはシンママ2人働いていた。

そのうちの一人の女性は元キャバ嬢から転身した経歴で、ブラウンのロングヘアと日焼けした肌、いたずらに笑う顔が印象的なかわいい女性だった。


彼女は僕に積極的に接してきた。

近くに来ていつも話しかけてくる彼女に、僕は次第に惹かれていった。


営業活動期間はだいたいコンビニ弁当を駐車場で食べていると伝えると、僕に顔を寄せて笑いかけてきた。

次の朝、営業まわりに出掛ける僕の車のところに来て、両手に乗るくらいの包みを手渡された。

わずかに温かいその包みがお弁当だとすぐにわかった。

「ありがとう」彼女に伝えると「がんばってね」と言ってセンターの中へ戻っていった。


彼女のお弁当は、ツナやタマゴのサンドイッチに唐揚げとポテサラと、付き合いだした彼氏にはじめて作るお弁当のお手本のような内容だった。

唐揚げの味付けも僕好みで、お腹も心も満足した。


その後も毎日お弁当が続き、4日目にお弁当を渡されるときには、前日に用意しておいたメモを手渡した。

感謝と恋心を伝えるメモ。


彼女との付き合いが始まった。


その週末に、彼女の住む団地へ迎えに行った。

彼女の住む6階の部屋へは階段を上がっていかなければならなかった。

黒く汚れた階段を上がり、鮮やかなライトグリーンの扉の横にある、カメラ付きインターホンを鳴らす。


彼女が顔を出し手招きする。

どこかに出かけるとばかり思っていたので、戸惑ったが招かれるまま部屋に入る。


彼女は僕の手を引きながら開いた扉の先は寝室だった。

僕がベッドに腰掛けると彼女が顔を寄せてきたので、頬に手を添えてキスをした。

しばらく彼女の舌の間隔を味わうと、彼女は服を脱ぎながら寝室のカーテンを閉めた。

彼女はベッド横のサイドラックの一番上の引き出しを開けて、僕にゴムを手渡した。

引き出しのなかには黒いディルドとピンクローターも入っていた。


ベッドに横たわった彼女の紫色のブラを外す。

小ぶりでとてもやわらかなバストを右手で揉みながら、左手で腰を持ち上げてお尻の方へ手を這わせる。

右手も腰の方へ移動させて、下着に手をかけると彼女は腰を両ひざをあげて促した。

僕も服をすべて脱ぎ、お互いを触り舐め合った。

彼女のやわらかく潤った陰部を指の腹をつかって撫でながら、ゴムの表裏を確認して装着した。


彼女とはそれから週末になると出掛けたり、抱き合ったりした。

二度目からはゴムは付けずに愛し合った。

ある日、普段は親に預けていると言っていた息子が居た。

小学校に入学したばかりで、すぐに打ち解けた。

一緒に晩御飯を食べるようになり、僕が寝かしつけをすることもあった。

彼女の息子が寝ている横で、起こさないようにセックスすることも多かった。


4ヶ月程してそのセンターでの営業活動は終了を迎える。

最終日の夜、営業社員と配送女性スタッフが集まって打ち上げをした。


僕は担当していた有村架純似の配送女性スタッフの横に座っていた。

軽くお酒を飲み、テーブルにいっぱいに並べられた料理をお腹に詰め込む。


ゆっくりと酔いもまわり、両手をついて天井を仰ぐように背伸びをすると、隣に座る女性スタッフの手に触れた。

お互いに一瞬だけハッとしたが、そのまま小指を絡ませながら手を繋いだ。

そして皆と彼女にバレないようにテーブルに下で手を繋ぎながら、ウーロンハイを飲んだ。


二次会はカラオケだった。

有村架純似の配送女性スタッフは旦那とふたりの息子の待つ、家に帰って行った。


16人程度がやっと入る程度の部屋で真ん中のテーブルで両側に分かれて座る。

彼女はお酒に強い方だったが、明らかに酔っているのがわかるテンションだった。

それでも周囲に付き合っているのがバレないようにテーブルを挟んだ僕の向かいに座った。


2時間程経った頃、彼女が倖田來未のキューティハニーを歌い出した。

歌いながら服の中に手を入れてゴソゴソしながら、シャツの胸元から着けていたブラを取り出して僕の方へ投げた。

コントロールは外れ、隣のベテラン女性スタッフのところへ落ちると、投げ返す。

今度は彼女の隣の男子社員のところへ落ち、一旦ブラを広げるとまた別の方向へ投げた。

楽しそうな悲鳴と笑い声に合わせて僕も笑っていたが、内心はまったく笑えない状況だった。

彼女のところにブラが戻ると、彼女はブラを着けるため部屋から出て行った。


二次会が終わった後、周囲にばれないように彼女を家に送り、いつものようにセックスをした。

彼女の酔いがさめた頃に、二次会のブラ外しに全然いい気分がしなかったと伝えた。

酔っていたし、悪気はなかった。

周りが喜ぶから酔うとついやってしまうと言った。


僕は「ごめんね。やっぱり理解できないよ」と言い、彼女の家を出た。

彼女との関係はその日を境に終わった。



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