夜中の喫茶店
彼女は僕と同じデザイナーだった。
知り合ったキッカケは女友達からの紹介だった。
Perfumeのあ~ちゃんに似ていて尖った犬歯とボリュームのあるバストに僕は惹かれた。
いつも笑っている彼女に僕も釣られて笑顔になる。
彼女とは音楽の趣味も合ったし、一緒に居るときは常に話して笑っていた。
付き合いだした時は家から40分程の場所に住んでいたが、やがて一人暮らしをするといって少し近い場所に引っ越してきた。
引っ越しを終えた後のデートに現れた彼女は突然金髪になっていた。
前からやってみたかったけど、新生活だから思い切って金髪にしてみたと。
雰囲気の変わった彼女と新しい部屋で、いつも以上の激しいセックスをした。
ある日、ドライブしながら話していると、彼女は知らない男の名前で僕を呼んだ。
慌てた彼女はそれは会社の同僚で、いつも仕事をしているからついついと言う。
理由としては理解できたが、顔も知らない男の存在がデートしていてもチラついてしまい、2日後に別れを告げた。
次の彼女と知り合ったキッカケは同じ女友達からの紹介だった。
その女友達に別れた理由などを話すと、また紹介してあげると言い、1週間程して女友達は別の女性を紹介してくれた。
黒いクセのあるロングヘアに、はっきりした眉と大きな瞳が印象的だった。
その日は3人で出かけ、次の日に2人で会った。
彼女の家の近くまで送り届けて車を停車した時に、実は彼氏が居るけどあまり上手く言っていないと聞かされた。
僕はそれでもいいと言って、抱き寄せるとゆっくりとキスをした。
その夜から彼女と付き合うようになった。
彼女の家は地元でもかなり山に近い地域。
彼女は農協の事務員をしていた。
農協の夏のイベントで彼女は浴衣を着ていた。
イベントの後に迎えに行った彼女の浴衣姿がキレイで、着物の裾から彼女のやわらかな身体に触れて長い時間キスをした。
ある日、ホテルで何度もセックスをして、ふたりでシャワーを浴びた後で彼女が夏祭りでいっぱい写真を撮ったから見てと言い、僕に数枚の写真を手渡した。
祭り櫓やりんご飴、彼女が盆踊りを踊っている写真。
その中の一枚に彼女ともうひとりの浴衣を着た女の子とのツーショット写真があった。
彼女に横に写っていたのは浴衣の女の子はPerfumeのあ~ちゃんに似た前の彼女だった。
それから数日後の夜22時頃に彼女から連絡があった。
彼女の家の近くの喫茶店に来て欲しいといって、喫茶店の名前を告げた。
指定された喫茶店は田舎の方では珍しく24時まで営業している、スキー場のコテージのような見た目の古い喫茶店だった。
喫茶店に入ると4人掛けのベロア生地でできた赤いソファーに彼女たちはふたり並んで座っていた。
こういうシチュエーションはドラマで見たことあるなと思いながら、ふたりの向かいに腰掛けてアイスコーヒーを注文した。
彼女たちは同じ高校に通っていて昔からの友達だった。
彼女が付き合っている人はデザイナーで映画のOSTをよく聴く人と友達に話すと、元カレと似ているとなったらしい。
僕を呼び出した理由は、なぜ友達同士と知っていてあえて付き合ったのか。
元カノへの当てつけなのかと問い質された。
当然、僕はふたりが友達だったことは知らなかった。
ただ紹介されただけだから。
そのことを告げると、今はどっちが好きなのかと聞かれた。
僕は彼女の方だと告げると彼女は少し顔を赤らめたが、元カノは寂しそうな表情を浮かべる。
僕の目の前に置かれたアイスコーヒーはまだ一口も飲めていない。
彼女は、嬉しいけど友達を大切にしたいからと言って、僕に元カノを送って帰ってほしいと言った。
僕はアイスコーヒーを一気に飲み干してから3人分の会計を済ませると、元カノを車に乗せる。
お互いに無言のまま、彼女の部屋の前まで送り届けると、最後でいいから抱いて欲しいと言い、部屋の中へ促される。
泣くかもしれないからと言うので、真っ暗な部屋のカーテンを少しだけ開けて月明りの中で元カノを抱きしめ、ゆっくりとセックスをした。
その日に、僕は2つの別れをした。
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