結婚
結婚式場を予約して打ち合わせと新婚旅行の行先を決める。
結婚指輪の購入。
婚姻届けの提出予定日は覚えやすいように2月22日のネコの日にした。
新居を建てることにしたので、建築業の親父と家の設計。
家具を選定。
結婚するということは、とても決めることが多い。
僕と彼女は言い争うことも全くなく、スムーズにそれらを決めていった。
マリッジブルーというのは、もちろん親と離れるという精神的な不安や心配が原因ということもあるが、おそらくはこういった多くの決め事に対するストレスが原因じゃないかと思った。
僕にとっては結納が一番の緊張するイベントだった。
彼女の父は地元で剣道の師範をしている、とても厳格な人だったからだ。
料亭を予約して彼女の両親を待つ時間は何とも言えない緊張感で水を何杯も飲んでいた。
そしてなんとか結納を終えたときの疲労感と安堵感。
新居も無事に完成した。
親父が建築関係で働いていたこともあり、一番費用のかかる材木費をかなり抑えることができたので上物だけで2,000万以内で建てることができた。
土地は親父が用意してくれた。
真っ白な壁にグリーンのカーテン。
何度も検討してやっと探し当てたチョコレートブラウンのレザーソファ。
天然木のテーブルとチェアは白く塗装して、二階の寝室にはワイドダブルサイズでナチュラルカラーの天然木ベッド。
記念にチャールズ・レニー・マッキントッシュのヒルハウスチェアを購入してエントランスに置いた。
結婚指輪も購入していよいよ残すは結婚式のみ。
結婚式のチャペルでの誓いの言葉を何度も確認しあいながら。
それぞれが控え室に向かった。
黒いタキシードを着た僕の目の前はるか向こうにある、3m近くある白く大きな扉が開かれ、眩しい太陽の光が差し込むと共に真っ白なウエディングドレスを着た彼女が現れる。
映画やドラマで見た光景。
彼女はとても美しかった。
彼女の父親から、シルクの手袋をはめた彼女の右手を受け取って握る。
血のような赤のリングピローからそれぞれの指輪を取り、誓いの言葉を彼女に告げる。
お互いに指輪をはめ合い、彼女の顔を覆うベールをゆっくりと上げる。
彼女は嬉しそうに笑っていた。
僕は彼女と初めてしたキスと同じようにキスをした。
Sixpence None The RicherのKiss Meが流れ、披露宴会場の扉をふたりで開くと盛大な拍手と感嘆の声があがった。
彼女から両親にむけた手紙を読んで涙ぐむ彼女にハンカチを手渡し、自分の母親には花束を手渡した。
披露宴の間は泣くのをこらえていたが、GLAYのI'm in Loveが流れる退場の時にはたくさんの拍手と知った顔の笑顔や泣き顔に、僕も涙があふれた。
そして2月22日、僕と彼女は夫婦になった。
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