第二章 2月22日晴れ
プロポーズ
友達の友達に誰かいい人を紹介してと頼むのはリスクしかない。
けど僕は違った。
運命の人に出会ったからだ。
友達の女友達が連れてきたのは、肩よりも少し長い黒髪を頭の後ろで束ねた黒谷友香と綾瀬はるかを合わせたような美人だけどどこか愛嬌のある顔立ち。
いたずらっぱく笑うのが印象的だった。
彼女の家は僕の家と車で40分ほど離れたところにあるキャベツ農業がさかんな街。
その日は1時間ほど女友達を含めた3人でドライブしながら話をして解散。
夜になって女友達に連絡して、あれから僕について何か話したかと尋ねると、彼女の方も僕に対して印象が良かったと答えてくれたらしい。
そうして交際が始まった。
彼女は管理栄養士の資格を取得するため、電車で1時間半かかる大学に通っていた。
ときどき作ってくれるお弁当はとてもおいしく、僕がお弁当箱を空にすると彼女はとても喜んだ。
彼女には門限があったので、車で3時間程度までで行ける思いつく限りの場所へ行った。
彼女の家の周りには古びたホテルしかなかったので、出掛けた後で門限に近づくまでキャベツ畑脇の空き地に車を停めセックスをした。
彼女を僕の両親に紹介すると、彼女をすぐに気に入り4人で食事をした。
その日からは二階にある僕の部屋で声を抑えてセックスするようになった。
両親が出かけた日、僕の部屋で5回目のセックスを終えたときに急に彼女が部屋から出て行った。
彼女はすぐに戻ってくると布団にもぐって僕に「ぷぅが出そうだったから逃げてしてきた」と言ったので、僕は頭を撫でて彼女の細い身体を抱きしめた。
彼女は3歳年下だったが、顔立ちの良さとしっかりとした口調だったから、よく僕の方が年下だと間違えられることがあった。
彼女と付き合って数年が経った、彼女の誕生日に僕は計画を考えていた。
仕事を終えて予約してあった花屋さんに急いだ。
そこで11本の薔薇の花束を受け取り、車のトランクへ入れると彼女の家に向かった。
彼女が行きたいと言った店で食事をした後、僕の部屋でケーキを食べて誕生日のプレゼントを渡す。
彼女の家近くまで車を走らせ、いつも帰る前に車を停めてキスをする小さな三角路に車を停めると車を降りてトランクから薔薇の花束を取り出し、助手席に座る彼女に手渡した。
「結婚してください」僕が彼女に言う。
「わん」彼女は犬の鳴きまねをした。
僕は彼女の頭を撫でて、彼女の左耳の下あたりに手を添えてキスをした。
彼女の涙で少しだけしょっぱい味のしたキスだった。
こだわりのある彼女だから、婚約指輪は一緒に買いに行こうと告げた。
後日、カルティエで給料3ヶ月分の指輪を買った。
そうして僕らの結婚準備が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます