おまけ 海よりも柔らかく、風よりも穏やかに


・三話後

流海「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん! 大変! クラスメートに何か変な人が居た! 何か体が鉄で出来てるの! なのに誰も騒がないの! おかしくない!?」

空「ええ!? まさか流海も? その相手の子の名前分かる?」

流海「あ、うん、名簿貰ったから。かねもり? って男の子」

空「あんた……覚えてないの?」

流海「え、何?」



・四話前後

空「で、流海は金護をどうしたいの? 復讐したいなら手伝うけど?」

流海「どうって、別に。向こうは忘れてるみたいだし、今更言っても……何で鉄に見えるんだろうって思って気にはなってるけど」

空「じゃあ、とりあえず金護を観察して、毎日どうだったかをお姉ちゃんに教えて。何か分かるかもしれないし。後私と姉妹なのは隠しておいて、後々その方が都合が良いから」

流海「? うん、分かった」



・五話前

流海「何か、金護君って水飲んでる所を見たこと無いんだけど」

空「そうなの? 私は聞いてないけど、何かトラウマを抱えてるのかもね。でも様子見てるだけじゃこれ以上は分からないから、今度一緒に帰るのを誘ってみて」

流海「ええ~! いきなり? 変な人だと思われない?」

空「大丈夫、作戦があるから。放課後に傘を持たないで~~~~~~~」

流海「うぅ、大丈夫かなぁ……」

空「あとはね、わざと名前を間違えて呼ぶの」

流海「え? でもそんな事したら怒るんじゃない?」

空「それが狙いなの。相手を怒らせて素を引き出す。れっきとした心理テクニックだから。根っからのギャンブラーなら皆やってるわ」

流海「私ギャンブルなんてやったことないんだけど」



・八話後

空「ちょっと、どうしたの? ずぶ濡れじゃない!」

流海「ちょっと、転んじゃって」

空「あのガキ……今すぐ四十八時間水滴垂らし拷問の準備をしないと」

流海「最近お姉ちゃんが怖い……」



・九話前

空「じゃあ、そこに隠れててね。あいつが謝るまで喋っちゃ駄目だからね」

流海「本当に来るかなぁ?」

空「絶対来るね。奴の性格からして。放課後すぐ来るね。私の流海を汚すなんて許せない! とことん追い詰めてやらないと気が済まないわ」

流海「汚れたのはコートなんだけど……」

空「じゃあこれ台本。十三パターンあるから、あいつの言動に合わせて選んで」

流海「……ちょっと待って、手を繋ぐって何? 何でいきなり!? 脈絡無さすぎじゃない?」

空「実際の感触に変化が無いか調べないと論文の資料が……っと。大丈夫、お姉ちゃんを信じて! これで上手くいくから!」

流海「……」



・十三話前

空「何作ってるの?」

流海「! お姉ちゃん、いつの間に?」

空「チョコレート? まさかアイツにあげるの~? 全身鉄なブリキ男のどこが良いのよ~」

流海「ベ、別に、そんなんじゃないから! もう出てって!」

空「うぅ……妹が遠い存在になっていく(´;ω;`)」



・最終話後

空「タイトルどうしよっかな~。海よりも柔らかく、金よりも固く、とかどう?」

金護「どう……と言われても。タイトルってそんなに重要ですか?」

空「重要でしょ! 読者が一番先に目にするもんなんだから!」

流海「読者って?」

空「あっ……」

金護「感謝してるなら【ティーンモンスターシンドローム】の論文書く取材させてくれって言ってませんでしたか? まさか、俺らの体験を面白おかしく脚色してネット小説で投稿しようなんて考えてないでしょうね?」

空「ま、まさか~。そんな訳無いじゃない」

流海「あ、それ読みたい! ハンドルネームは?」

空「レイノー……あっ!」

流海「ほんとに書いてるんだ……」

金護「マジで書いてんのかよ!」




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