第118話
バルドゥルはとても申し訳なさそうにしているが、吾輩としては気にしていないというのが本当のところだ。そもそもの話として、無礼を働かれたというのは吾輩とトジャとの間での出来事であって、その場に居合わせたからといって別の者に責任が及ぶところではない。
それに人間が人間らしく愚かに振舞うなど今更である。
「吾輩は気にしていないし、バルドゥルが気にすることでもない」
だからそれをはっきりと告げてやると、バルドゥルの方も「そうか……」などと呟いてある程度の納得はした様子だった。
「しかし人間も種類が変われば雰囲気も変わるのだな」
かつての住処では人間は年齢による違いはあれど、種族の違いなどは然程なかったということを思い出して口にする。もちろん外見の違いは色々だったが、習性というか性格についてはわりと一様な印象だった。
「種族の特徴ということなら……森族はああではないぞ? むしろ大人しい連中という感じだ」
「む? そうなのか?」
どうやら、あのトジャが単純に変わり者であったということのようだ。
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