第104話
「ぬおおっ!」
突如全身を激しい衝撃が襲ったことに驚いて、吾輩としたことが間抜けな声を上げてしまった。
いや、衝撃といっても痛みを伴うようなものではなく、ただぐらぐらと揺らされただけか。しかしうとうとしているところにこれは、驚いても仕方がないと思うのだ。
「ど、どどど、
目を開けると至近距離にトジャの顔があり、唾混じりに質問らしき何かを投げかけてこられた。「どういうことですか?」と言っていたのか? 何がだ?
「な、何だそなたは急に?」
「そうです、ト=ジャさん! いきなり掴み掛かるなど!」
努めて冷静になだめようとしたが、何やらバルドゥルの方がいきりたっておる。
「……俺だってふわふわ尻尾やもふもふお腹を撫でまわすのを我慢しているというのに。あ、肉球はぷにぷにで良かったなぁ……」
ぶつぶつと小声で呟くバルドゥルが何を言っているかは聞き取れなかったが、きっと厳粛で高貴な吾輩への態度について、今一度思考しているのだろう。思慮深いのは良いことだ。
「……で、何だったのだ結局」
「あはは……すみません、興奮してしまいまして」
吾輩が半眼で睨むと、トジャもさすがにバツが悪そうに後ろ頭をかいている。まあ反省しているのならそれで良い。
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