第102話
吾輩が先ほど菓子と茶を堪能していた客間のテーブルで、バルドゥルはトジャと何やら話を始めた。
……内容? そんなものは知らん、眠くて聞いていないからな。
「きゅううぅぅ」
むう、一応はバルドゥルから同席して欲しいと頼まれた手前、何とか意識を保つ努力はしていたが……そろそろ限界かもしれん。
まあそもそも、だ。吾輩としては本当に義理でここにいるだけで、会話にはまともに参加する気など元よりないのだ。
トジャを悪くいうつもりはないのだが……学者であるということであったからな。
前の住処での吾輩の経験では、学者や研究所、そして保健所といった所属を名乗りながら近づいてくる人間にロクな思い出はない。あと市役所もだ。
そういう訳で、変にまともに関わって面倒なことを言われたりさせられそうになってはかなわん。
「原因はエルダートレントで間違いないでしょう。それについては事例があります。……しかし、気になるのはその前の話です!」
「おお、鍛冶場にあった木や骨を肥料とした話ですな」
まぶたが落ちそうになっては、あやつらの大きな声で目をかっぴらくということを繰り返すこと数度。なんというか、馬鹿らしくなってきた。
用があれば起こしてでも話しかけるであろうよ。
という訳で、寝よう吾輩は。ふむぅ……ぽこ…………。
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