崩れた廃坑
廃坑に続くトンネルは見事に崩れていた。
寂れた景色は一変し、災害と化している。
狭い隙間から抜け出した小人達が金切り声を上げて騒いでいた。
喋る熊は大きな息を吐く。
『まぁ大方予想はできていた』
「パパ、ハンターの方が見えません」
「小人しかいないじゃん、全滅したの?」
崩れたトンネルを睨んだあと、目の前の小人に唸り声を上げる。
『情けない話だが何も考えずに突っ込んでそのまま生き埋めになったんだろう。小人が町に入る前に対処するか』
「はい、パパ」
「りょーかい、パパ」
ワイスは小さな掌サイズの拳銃を構えた。
ロットはナイフを構えた。
先陣を切って四つん這いに、熊は突撃する。
土を散らし、蹴り駆ける熊の巨体を前に恐れ腰を抜かす小人達。
金切り声が淀むほどの衝撃と鋭利な斬撃に緑の液体が飛び散る。
逃れ森へ隠れようとする小人の前に立ち塞がるのは上品に微笑むワイスと撃鉄が擦れる音。
小人の頭を撃ち抜く破裂音が響いた。
逃げ道がない小人達は追い込まれ、ロットに狙いを定めて鋭い牙を剥き出しに襲い掛かる。
ロットはしゃがみ、土を掴んだ。
前方へ煙幕の代わりに撒く。
視力を奪い、口腔内に土を入れる。
体勢を崩した小人は勢いを失い、ドタドタと地面を削りながら滑り倒れていく。
容赦なく倒れた小人を踏み潰す熊。
喜々として胴体を撃ち抜くワイス。
ロットは殺戮を前に肩をすくめる。
廃坑の前はペンキのように塗りたくられた緑でいっぱいになっている。
「ハンターの方々は助からなかった、ということでしょうか?」
装填しながらワイスは訊ねた。
『そういうことだ。だが、一人も助けられなかったっていうのはさすがにマズイ、入り口付近ぐらい探そう』
熊は岩をどかす。
姉妹も細かい石や木材をどかす。
『お前達は町に住みたいか?』
熊の質問に、姉妹はエメラルドグリーンの瞳で見つめ合う。
クスクス、と笑う。
「死んでもごめん」「死んでもお断りです」
熊は小さく鼻で優しく笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。