ついでに消えてしまえばいい
火が灯るランタンを腰に吊るしたハンター集団が集まる。
寂れた線路とトロッコ、暗い廃坑に繋がるトンネル。
ハンターはライフルを手に持ち廃坑へ……――。
森近くの小屋で、体長一七〇センチの熊はカゴを下ろした。
カゴの中には山菜や果物がたくさん入っている。
一息ついた瞬間、無数の爆裂音が響いた。
足元が揺れるほどの轟音と野生動物の荒れた鳴き声。
森全体がざわつく空気に、熊は急いで町に向かう。
町の入り口には町長がいた。
縦に伸びた体躯に丸みがある鼻と口ひげ。
「あっ! き、貴様、ぐぐぐぐぅ」
熊を見るなり眉を顰めて、唸り声を上げる。
エーリヒが少し遅れて現れた。
「前に廃坑の状況を確認してもらっただろう? 小人が巣食う廃坑の掃除にハンター達を依頼したらしい。そしたらなんと、雑に撃ちまくり、廃坑が崩れてしまったんだと」
『あぁ、そうなのか……すぐ救助に』
熊は渋く光る声を漏らす。
「君が行けばハンターに撃たれて終わりだ」
『しかし』
「一緒に行きます」
「私も!」
本屋から飛び出してきた姉妹が名乗りを上げた。
『ダメだ。小屋に戻って大人しく待ってろ』
首を振る熊に、姉妹はエメラルドグリーンの瞳で睨んだ。
姉のワイスはやや釣り目。
妹のロットは垂れ目。
「あぁ、その方がいいな! 間違いない、小人狩りの熟練者なのだから! 小人を全部片づけ、使えないハンター共を全員救助できたら家を報酬としてやろう。職も、学校も、町で売り買いできる権利も与えてやる」
町長の提案に、エーリヒは顔を顰めた。
熊は静かに唸る。
姉妹は報酬などなくともやる気に満ち溢れている。
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