午前の微睡み

 日が昇るのと同時に目を覚ました熊。

 ぼやぼやした世界のなかで天井、窓、扉、テーブル、ベッドを順番に見る。

 シーツの上には指を絡めて寄せ合い眠る姉妹がいた。


 姉のワイスは釣り目で少々砕けた敬語口調の勉強や読書が好きな一五歳。明るいブロンドヘア。

 白いロングワンピースに腰より上に結んだリボンを着ている。

 同年代よりも胸の成長が早い。


 妹のロットは垂れ目で活発で壁を感じさせない口調の運動が大好きな一四歳。赤茶の髪。

 赤いシャツにショートパンツを着ている。

 同年代よりも胸の成長が遅い。


 共通するのはエメラルドグリーンの瞳と腹ペコなところ。


 熊は頭の中で情報整理をしながら覚醒していく。

 頭をぶるぶると振り、起き上がった。

 いつものカゴを背負い扉の取っ手に鋭い爪を引っかける。


「ろっと……ぱぱ」

「わいすぅ、ぱぱぁ」


 あやふやな声が聞こえ、丸い耳が動く。

 振り返ると、姉妹は寝息を立てて眠っている。

 小さく鼻で優しく笑い、扉を開けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る