斗南先生
中島敦/カクヨム近代文学館
一
雲海
郎ヲ思ウテ 一日三秋ノ愁
四十九里 風波悪シ
渡ラント欲スレド 妾ガ身自由ナラズ
ははあ、来いとゆたとて行かりょか佐渡へだな、と思った。題を見ると、
それは彼の
「予往歳
これは又恐ろしく時代離れのした世界である。が、「日本男子云々」の名刺といい、「打門ノ声甚ダ急」といい、「清癯鶴ノ如シ」といい、「翌日訪ねると、もう
「聞ク、君潔癖アリ。終身婦人ヲ近ヅケズ。遺命ニ、吾レ死スルノ後、速ヤカニ火化ヲ行ヒ骨灰ヲ太平洋ニ散ゼヨ。マサニ
これは
他人に在っては
親戚の多くが、三造の気質を伯父に似ていると云った。殊に年上の
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