第5話
気がついたら周りには化け物の死骸と臓物が散らばっており、血の匂いが充満している。深く深呼吸する。血の匂いが肺から体に脳まで行きわたる。
「はぁ、スッキリし…た……あれぇ」
視界が歪んできた、自分を見ると傷だらけというよりか満身創痍。右目は潰れたし、背中が熱い、左手もぽっかりと穴が開いており通気性がよくなっている。アドレナリンがまだ分泌しているのか痛みはない。
「やっば……い」
意識飛びそう…、頭をガンガン殴り何とか保つ。視界も少しまともに見えてきたから周りを見ると死骸が光の粒子になって消え始めた。
「…消えた?」
ものの数秒で死骸が消え見えるのは真っ赤に染まった地面だけ。突然の出来事で呆然としていると5m先に光る柱が現れた。
ここにいてもしょうがない、歩こうと一歩踏み出すと目の前に地面が。
あれ? おかしい、なんで私倒れてるの。
首を動かし光の柱に向く、腕と足を動かして這いずっていくが力が入らない。それでも何とか動かしていく。
寒くなってきた、血を流しすぎたからか目も霞んできた。左足の感覚が無くなった。それでも動かしていく、半分まで来た。…こわいよ
眠たくなってきた、何も考えられなくなってきた。左腕と右足の感覚が無くなった。あともうすこし。……さみしいよ
何も見えない、瞼が閉じてるのか開いてるのかも分からない。すすんでいるのかわからない。………しにたくないよ
「s…にた…く…n……い…」
「いき……t…い」
「a…い…たい……よ」
「お…か……ぁさ…ん、おと……ぉ…さ…ん、…ひ…な」
全身が温もりを感じた。もう寒くない、寝ていいよね。私はその温もりを逃さぬよう体を丸め意識を落とした。
目が覚めたらひなが起こしに来てくれる、お母さんが笑ってくれる、お父さんに頭を撫でてくれる。
そう……希望を抱えながら
今までの事が悪い夢だと信じて
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