第2話
夥しい数の化け物が私の目に入った。
緑の体、赤く光った眼光、鋭い牙、手には棍棒、ナイフ、剣等持っている。
私は化け物から目を離さないようにゆっくりと後ろに下がり部屋に戻ろうとした
トンッ
「え?」
背中に固い何かに当たった。手で触るとざらついた、前の部屋で触れた壁の感触。
おかしい、確か扉は開けっ放しにして閉めていなかったはず。左右を見るが何処にも開けたはずの扉がない。
戻れない
私は確信してしまった
あぁ、ここで死ぬのか
後ろに逃げ場はない、目の前には化け物がいる。まだ動かない
凭れ掛かりながら座り込んでしまう。まだ…動かない
下半身が生暖かくなった。あぁ、やってしまった。ザリッと音がした
アンモニア臭がする。濡れたスカートが冷えてきた。近づいてくる
涙が出てきた。化け物を見ないように俯き目を閉じた。音が近づいてくる
両親と妹の顔が浮かび上がった。私を見て呼びかけてくる。音が止まった
あぁ、これは夢か。三人が私を呼んでいる、呼びかけてくれている。静かになった
起きないと、起きたらきっと笑顔で「おはよう」って話しかけてくれる。何も聞こえなくなった
顔を上げよう、目を開けて前を見るんだ。お父さん、お母さん、妹が待っている。
私は閉じた瞳を開け前を向いた
「あはっ」
前にいたのは三人の姿ではなく
「あぁ」
私の顔を嚙み砕こうとする
「ぁぁ」
大きな口であった
「……」
私はもう帰れないことを悟り
諦めた
『心が砕けました』
『修復します』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます