第6話

次の水曜日

井上さんから泣きながら電話がかかって来た


私「井上さん?どうされました?」

井上「今…警察署から出て、近くのビジネスホテルに居るんですけど…」

私「ビジネスホテル?」

井上「多分夕方にはニュースになると思うんですが…



ミナミが私の部屋で首を吊ってたんです」



私「え……」



あまりの出来事に言葉が続かない

井上さんにかける言葉も思い浮かばず

絶句してしまった。



井上さんの説明はこうだ

今朝仕事に向かうためドアノブを捻ったが、重たくて回らなかった。

鍵は開いていてもドアノブ本体が回らないのでは部屋から出る事が出来ないので

アパートの管理会社の連絡した。連絡を受けドアの修理会社の人が井上さんの家に向かうと

ドアノブで女性が首を吊って亡くなって居たそうだ。


遺体を確認すると、それは友人のミナミさんだった。



私「じゃあやっぱり死骸を置いて居たのはミナミさんだったんですか…」

井上「それが…よく分からなくて」


私「え?最後に自分の遺体を置くことで嫌がらせを遂行したんじゃ…」

井上「私も遺体を見てすぐはそう思ったんですけど、ミナミの手に遺書のようなものが握られてて…」

私「遺書⁉︎」


井上「はい。『もうあなたの番は来ない』って」

私「あなたって井上さんの事ですよね?本来は井上さんの順番だったけれど

ミナミさんが代わったから『あなたの番は来ない』って解釈でいいんでしょうか?」

井上「恐らく…でも順番てどういう事なんでしょう?」



そう問われた時

一瞬しりとりの事が浮かんだが

この状況でそんなふざけた事を口にすることは出来なかった。



私「ミナミさんのメッセージの意味は分からないですけど

井上さんを恨んでいた訳ではなかったんですね」

井上「そう、ですね」



私「あの、彼氏さんはどうしているんですか?ミナミさんとも、その…お知り合いだったんですよね?」

井上「それが、今朝から連絡がつかなくて…

昨日の夜にまたスープを持って来てくれてたみたいなんですが、お礼の連絡をしても既読が付かなくて…」


私「そうですか…じゃあ今はとりあえずは警察の捜査を待つしかないですね。今日はゆっくり休んで下さい」

井上「はい。ありがとうございます」

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