38.リアルで遭遇

「はぁ、まだ午後の授業があるのか…。早く帰ってゲームしたいよ。」

 

 お昼休みにそう愚痴りながら購買で買った焼きそばパンを一人外で食べていた。俺の他にも一人でいる奴やら仲良い奴同士で集まっている奴らが弁当や購買で買ったものを外で食べて過ごしている。

 

 それを眺めていると俺の目の前に弁当片手に一人の男が声をかけてきた。160ぐらいの身長、お腹が出ている。表情は笑顔、目は糸目て眼鏡をかけている男だ。眼鏡をかけている点以外はもはやリボトルそのものの見た目だ。

 

「お隣いいですか?」

 

「ああ、いいぞ。」

 

「ではお隣失礼しますね。タイガーアイ君。」

 

「‼︎」

 

 俺は驚いた。コイツは俺と初対面の筈なのに俺がタイガーアイという事を知っている。俺があまりの出来事に固まっていると俺の横に座ったリボトルみたいな男がそれに気づいて口調を変えた。

 

「あ、誰かわからないか。んんっ、おいおいワイのことがわからんのかタイガーアイ。ワイやでスナイフル・リボトルや。口調が全然違うとは言えワイのことわからんとか悲しいわ。」

 

「お前リボトルなのか!?まあ見た目は似てたけどもまさか本人だとは。同じ高校だから葛西竜馬という名前に聞き覚えがあったのか。と言うかなんで俺が分かって。」

 

「同じ高校と言うのもあるけどワイはこの高校とかではいろんな事をタダで手伝う『お手伝いさん』としてこの辺りで名前が広がってるからやで。

それでなんで分かったかは、髪と声や。タイガー君は色変えとるけどそれっぽい髪型で何人か目星をつけた、やけどそれだけでは分からんかったからライブでよく聞くタイガー君の地声を頼りに見つけ出した、と言うわけや。」

 

「いや、怖すぎるだろ。」

 

 もはやホラーだ。髪型と声で見分けるとか怖い。当の本人はこれを当然と言う様にやってのけている所め含めて怖い。

 

「んで用事やけど連絡交換しようや。これでいつでも会議が出来る様になるから。それとライブ始める時に連絡くれ。俺もログインするから。」

 

「ああ、分かった。はいこれ俺のラ○ンのqrコード読み込んでくれ。」

 

「ん、ありがとうね。やりたかった事もやったし昼飯食べようか。やっぱりロールプレイって疲れるけど楽しいね。」

 

「ああ、楽しい。だがこんな事になるとは流石に想定外だった。」

 

「そう言えば今日の七時だな宣戦布告。夕方にライブはするのか?」

 

「いや、今日は夜だけだ。宣戦布告の動画に対するネットの反応見てからライブをしようと思う。」

 

「そうか、今日の夜またライブする時に連絡ちょうだいね。昼飯も食べたからそろそろ教室戻るよ。それじゃあね。」

 

「ああ、連絡見逃すなよ。」

 

 そう会話を切り上げリボトルと別れた。その後学校から帰り宣戦布告動画を視聴した。

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