第46話 シャジャラの献身
家へ転移してくると、ちびっ子たちしかいない。
ああそうか。アダルト組はエステか。
「おかえりなさいませ」
テレーザとアドリアそれとブリジッタが出て来て挨拶をする。
「ああ。ただいま。ブリジッタは生活に慣れたか?」
「はい。素晴らしいです」
そう言って、顔がキラキラしている。
「そりゃ何より。ゲームもいいが、勉強もしろよ」
そう言って頭をなでる。
うちに来た子供達には、強制的に小学校からの勉強をさせている。
もっぱら、興味があるのは歴史とかのようだが。
その後、日本側の対策室から俺の安否確認が入り、無事なことと、ちょっとした手違いで相手の国境守備隊が消滅したこと。それに国境へ目印として、壁を作ったことを報告する。シウダー王国の王。アルチバルドはこのまま会議をして、夜は日本側の接待を受けるようだ。
ちびっ子たちと、自分たちの晩飯。
もともとは、冷蔵庫に作り置きしたおかずがあり、順に食べるように言われていたようだが、自分たちはエステに行って、ちびっ子に対する扱いがむごいな。
いくつか冷蔵庫から出して、ついでにデリバリーで焼き鳥とかピザを取る。
ビールを飲みながら、思い返す。
もう少しやり方があったのではないか? 確かに向こうからの攻撃が無慈悲に始まった。シャジャラの攻撃もブロックされていた。
でも…… なんだよなぁ。
自分の中で、日に日に強くなっていく力。
多分あの日から、ずっと毎日、体が改造されている。
それに応じて、魔法を含め強くなっていっている。
精神系魔法を、俺が使えばよかったのかもしれない。
ただ、塩梅を間違えると結局壊すんだよね。
精神系難しいから。
眉間にしわを寄せながら、唸っていたらしく、テーブルを囲むちびっ子プラスシャジャラから、心配そうな目を向けられていることに気が付いた。
「ああ、ごめんな皆。別に何もないから。あったかいうちに食べてくれ」
俺がそう言うと、各自でとりわけ。いただきますをして、食べ始める。
すごいな、ブリジッタなど何もできなかったのに。
最初は、服でさえ着替えさせられるのを待っていた。
そんなことでは馬鹿になると言って、自分のことは自分でするように教えた。
すると楽しかったようで、色々なことにはまり始めて、今読書とゲームにどっぷりはまっているようだ。
心配をかけるようでは、だめだな。
その日の夜。シャジャラは、数年前に亡くなったお母さんに会った。
きれいに咲き誇る花畑の向こうで、豪快に肉を食らい酒を飲んでいた。
母親は、リーゾのような体力系。
魔族の習慣により、母と数年付き合っただけの父親は知らない。
母は、ある日仲間と狩りに行き。予想外の大物と出会う。
1トンはありそうな、金の鬣(たてがみ)を持ったフォレストボア。
どう見ても特別種だ。
目の前で、仲間たちが次々と跳ね飛ばされていく。
それを見て、シャジャラの母は、一人で突っ込んでいく…… そして、一人で殴り倒した。
フォレストボアはかわいそうなくらい、ぼこぼこにされたらしい。
その後、分け前でもめたときも力で収め、仲間から奪い取った巨大な肉を担いで帰る途中。酔っぱらっていたためか、トイレに行こうとしたのか道を外れ、魔王が設置していた罠にはまって。おぼれたらしい。
まあその後、母の仲間たちに良くしてもらい、シャジャラが自分の力に気が付き、王に側近として取り立てて貰った。
そして、落ち込んでいる様子の真司を慰めるために一緒にベッドへ入り、今の状況。
まことたち、アダルトグループがいないこの状況。
シャジャラは頑張った。真司を慰めるため。
だが、真司は魔王だった。
もうね。無理。
そして、お母さんと久しぶりに会って涙する。
そして、少し困った顔をしたお母さんから、
「久しぶりに会ったが、もう帰んな」
そう言われて、突き飛ばされ、目が覚める。
気が付けば、真司の胸の上で、よだれを垂らして気を失っていたようだ。
あっ私ってば何と言うことを。
そして動こうとしたが、まだつながっている。
意識した瞬間、また快楽の海へと沈んでいく。
死んだお母さんに、多分呆れられただろう。
朝までの間に幾度か会ってしまった。
でもまあ、朝見た真司様の、私を見る目が、慈愛に満ちさらにやさしさにあふれていたからいいわ。
「おはようございます」
そう挨拶をすると、台所へ行ってお茶でも入れようとして、立ち上げれなかった。
足に全く力が入らない
結局。午前中は、真司に介護された。
「ううっ、トイレにまで連れて行っていただくとは。でも、食事をあーんと言って、食べさせていただいたのは素晴らしい経験でした」
そうつぶやきながら、真司がするよと言ったが、かたくなに反対して、生まれたての小鹿の様な震える足で、自分が汚した洗濯ものを干すシャジャラ。
その表情は、非常に満足そうだった。
その頃、
「やっと来なくなったか、あの子はいったい何をやっていたんだい。心配だねえ。幸せになってくれていればいいけれど」
幾度も合いに来たため、心配をしたお母さんがぼやいていた。
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