第28話 第1回 世界同時多発異変対策会議

「今回、世界中で異変というのか、土地の入れ替わり現象が発生した。少なくとも我々の地球と他の2つこれが混ざったと言えると思います。この異変に対し現状行える対応と、これから行うべき対応。その2点を決議したいと思います。では皆さんよろしくお願いいたします」


 今行われているのは、リモート会議での『第1回 世界同時多発異変対策会議』である。


「えー議長。日本です。報告すべき点がいくつかあります」

 今現在、他国で首都が消えた影響もあり、微妙に日本の立場は上昇をしていた。


「日本国どうぞ」

 世界の地図が変わったタイミング。ここで、1934年に失敗した読み方の変更を行った。日本は正式にJapanからNipponとなった。


「現在確認されている混ざった世界は2つ。これは、確定事項と言えます。我々はこの事を調査の結果確定いたしました。一つは、惑星テロラアリエナ。ここは、複数の魔王と呼ばれる存在が、国家を形成統治をしていました。このことは、わが日本国内に現れた土地。特徴として、主に巨木の生える森の様相を示しています」

 そう言って、画面共有された写真が映し出される。

 さらに、衛星により撮影された、魔王の町が映し出される。


「現在映し出されている町。これは、魔王テスタ様により統治されていました。諸事情により現在は、代官として魔王テスタ様に一任されています。現魔王はなぜか日本人となっています。話し合いが継続中の為、実名は伏せます。そこからの情報で南太平洋。オーストラリアとペルーとの間に現れた大陸。ここも別の魔王が治めている土地だと判明をいたしました」

 音声は切られているが、参加者の驚きの顔が映し出されている。


「ここの魔王領は、不確かではありますが、元の星の位置からそのまま移動したなら、魔王メヒティルトの治める国だろうと、元魔王テスタ様より情報を頂きました」


 モンタージュが映し出される。


「映像のとおり、彼女はゴルゴン族であり頭部が蛇となっています。注意点として、目は見るなという但し書きが付いています。そして、四天王と呼ばれる存在が周りに控え、アルヌルフと呼ばれる女性。氷系統の魔法が得意。絵のように非常にクールな感じで、気に入らないときには、言葉の代わりにすべてを凍らせる恐ろしさがあるとのことです。未確認ですが、彼女の言葉を聞いただけでも凍ってしまうという話があり、情報を精査中であります」

 絵が切り替わる。


「次がディートヘルム。剣士。男。詳細は不明ですが、予想では風の剣を持っていると伝えられています。有効範囲は200mほど。次が、エーレンフリート。女。空間系魔法を持っていると予想されています。有効範囲不明。有効範囲内の物を手を触れず切断? することができる。もう一人が、ローレンス。男。能力は不明。ただ伝承によると理を曲げると伝え聞いているとのことです。さらに、この男に対する情報として、きざな奴で女好き。以上、惑星テロラアリエナ側の情報となります。ここまででご質問のある方は、挙手マークを押して、指名されるまでお待ちください」


「いま、話に出たチリ共和国国だが、危険があるなら近代武器による制圧は何処も考えていないのか?」

 議長のアメリカが、挙手マークを上げている国を指名する。

「すみません。日本ですが、彼らは知的生命体であり、むやみに襲っては来ません。一方的な侵略行為の場合、日本の側の魔王までもが参戦する可能性があります。それは我が国として避けたいと考えています」


「ならこちらが、侵略された場合はどうすればいい」

「速やかにご連絡をお願いします。対応いたします」

「それは、具体的にどのように対処をする気だ?」

「魔王同士の話し合いを優先いたします。もともと彼らは向こうでの決まりがあったようですから」


「まあいい。要するに向こう側に手を出すなら、日本が出てくると言うことだな。我が国は、貴国を友好国だと思っているが、国が大きくなって少し欲が出たか?」

「いえ、そう言うことではありません。こっち側に来たからと、一方的にこちらの考えを押し付けるのはいかがなものかと言うことです」


「わかった。オーストラリア連邦は何かないのか?」

「うちは今、よそに手を出していられる状況ではない。その魔王領の残骸だろうが現れて、それの対応で四苦八苦だ。日本国、自国を守るためだ文句はないよな」

「ありません。ご依頼いただければ、対処のお手伝いができる可能性もありますが?」

「今の所、わが国だけで対応をしている。やばくなったら、連絡を行うかもな。奴らには携帯用ミサイルも効かないやつがいるからな」

「戦闘相手に言葉をしゃべる、人型が居たときはご連絡をください。今は魔人族と呼称をしていますが、見た目が多少人間と離れている方もいますので」

 そう言って、いくつかの写真を共有すると、至る所から、デーモンという言葉が出ているようだ。口の形からそう読み取れた。



「次に、惑星センダスサテラ側。こちらは、スサーテラ様と呼ばれる女神を信仰している。時代的には13~14世紀ヨーロッパレベルの王国制と共和国。小国家群があったようです。我が国に現れたのはシウダー王国のペルディーダと呼ばれる城郭都市。そこの領主の館は、現象が起こったときに境目であり、倒壊しました。ただそこのお姫様が助け出されており、友好条約に調印をしております。なお、同じく娘さんを保護しているシエルキープの町とアンドベリーの町。これは、今場所を聞いて検索中です。言語も今解析中となっています」

 モニター中では、騒ぎが起こっている。


 女神が出たから国によってはまずいと思ったが、隠した方が問題がありそうだと考え公表した。

 それに、あの女神さまをたたえる教会。何か力を感じる。


 こうして、両側に伝手のできた日本が、独占的に情報を抑え一歩リードしたまま会議は終了をした。

 多少しゃべりすぎたきらいはあるが、何かの折に連絡を貰うための撒き餌としてばらまいた。


 この会議をしている間に、現日本領に領海を含めて端から端までシールドが張られて、他国の人間が入れなくなっていた。

 政府に情報が行ってすぐお願いされた。

 一発目は、お安く100億円、あとの維持管理は別途で契約と話を決めた。

 当然魔王国の収入だ。

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