第11話 警官と自衛隊。作戦開始
俺と警官が、うだうだと話をしていると、銃声が聞こえはじめる。
「あちゃー作戦が始まってしまった。おい兄ちゃん早く家へ帰れ。出てくるなよ」
そう言って追い返される。
なんだよ、帰るなと言ったり、帰れと言ったり。
ぶつぶつと言いながら、家へと帰る。
階段を一応、警戒をしながら、軽快に登っていく。
おおっ、なんだ? 体が軽いぞ。
途中にある踊り場から、足に力を入れて飛び上がる。
だが、上のフロアに到着する前に、上の階段の床。つまり天井に頭をぶつけてひっくり返る。
真っ逆さまに、元の踊り場へ頭から落ちて、ゴンと嫌な音が周辺に響く。
目を見開き。上半身は平らな踊り場だが、足が階段に残った状態で考える。
体も人間やめてきている?
むくっと上半身を起こして、平らな所に胡坐を組んで座り直し、体を確認する。
ふと階段の上を見ると、まことが荷物を放り出して、階段を駆け下りてきた。
「だだだ、大丈夫ですか? すごい音しましたよ」
駆け降りてきて、踊り場に座り込んでいる、俺の周りをくるくる回っているが、短いスカートが翻る。きちんとパンツは穿いたのね。
「うん大丈夫」
俺はそれだけ言って、立ち上がる。
「警察たちが、何か作戦を始めたから家から出るなってさ」
そう言って、階段を上がっていく。
廊下に散らばった荷物は、まことの運んでいたものだろう。集めて、収納する。
きっとまことは、目を丸くしているだろうが、気にしない。
「真司さん」
ほらね。
「すみません。少し待ってください」
あら? 歩くのが早すぎたようだ。
おれは手を差し出す。
まことは。ニコッと笑い、手を取ってくれた。
さっき、踊り場で遊んでいたから、汚れていたかも。
そんなことを考えながら、部屋へと帰った。
警察、自衛隊合同作戦本部。
いよいよ作戦を開始しようとする時間。
モニターの並ぶ壁面を眺めながら、隊長はコンソールに肘をつき、口の前で手を組んでいた。パネルからの光で、メガネが光る。
※一言:調べると警察や自衛隊において無線運用上の決まりがありますが、まるっと無視しています。書いていて、身分や隊のコードナンバーとNATOフォネティックコード入れて、まともに書くと文章になりません。丸2日かけて書いたのですが、自分でも何を書いていたのか分からなくなったので、全削除後そう対応しました。
NATOフォネティックコードは、聞き間違い防止に使う読み方で、アマ無線などをする方はご存じのはず。コールサインの○○○YBIならヤンキー・ブラボー・インディアなどです。
ついでに、作中の座標は私のエクセル画面なので、アルファベットが行で数字が列、城郭と崖があるため、主となる突入口を下にすると下が北となっています。
NK班は北の真ん中あたりから、突入したチームとなっています。
〈先ほど警察のパトロールカーが、一台潰されたようです〉
隊員から、戦術無線を通じて報告が入る。
〈原住民か?〉
忌々しいという顔で、隊長が答える。
〈いえ。イノシシの巨大なものです〉
少し驚き、状況を確認する。
〈そいつは何処へ行った?〉
〈潰れたパトカーのそばで、死んでいました。パトカーと衝突した為だろうと言うことです〉
〈ならいい。作戦は11:00計画通りに実行する。要救助者がいる可能性もある。誤射はするな〉
「3、2、1、実行」
〈実行せよ。各部隊は、持ち場から丘に向けて侵攻。抵抗しない原住民は無視。抵抗する者は状況により対応。逮捕優先。非人道的な事はするな。必ず各班単位で行動する事〉
戦術無線を使い指令が飛ぶ。
統合戦術無線システム。司令部のモニターには、各班の状況がライブで見えている。戦術データ・リンクにより隊員の位置もリアルタイムで光点が移動していく。
〈目から報告、座標D-15並びにD-16から探査目標K(騎士団)、6ずつ移動、D17の通路にて合流。総数12。そのまま下りJ-30方面へ向かっています。撃っていいですか隊長〉
〈馬鹿野郎撃つな。9課のサイトーかお前は。アニメの見過ぎだ。記録してるんだぞ、軽口はやめろ〉
〈こちら、NK。民家で男二人の遺体発見。スーツを着ています。回収しますか?〉
〈本部。回収。住民は?〉
〈女性というか、女の子1人。あと首も発見〉
〈遺留品も回収。連れて来ても言葉が通じん。原住民は放置。座標のマークと顔写真は撮っておけ〉
〈りょ〉
「気を抜きすぎだ。たく。すでに市民が殺されているのか。マスコミのいいネタ。ああそういえばずいぶん消えたんだったな」
作戦は順調。しばらく時間が経ち。
〈こちらW14、ポイントQ12において、収容所発見。見張り5あり〉
〈本部。収容者は国民か?〉
〈見た感じは不明。ですが環境悪し。男と女が一緒に放り込まれて乱交状態。中に幾人か黒髪確認。叫んでいるのは…… 日本語。繰り返す日本語確認〉
〈本部だ。殺れ〉
苦虫をかみつぶした表情で、隊長は命令を出す。
〈……了解〉
「隊長、今のって」
「聞くな聞き流せ。俺はやれとしか言っていない。救助に決まっているだろうが」
〈作戦終了。要救助者女性12確保。抵抗者鎮圧。救助時しっかりと口頭で身分確認。問題なし。一班。W10が付くそうです。そちらへ救助者送ります〉
〈ポイントK23で対象Kと戦闘になりそうだ。W10西側壁際経由で帰ってこい〉
〈りょ〉
「救急車手配。12人分大丈夫か?」
異常発生後、速やかに主要施設に配布した衛星無線機で連絡を取る。
「この町。中央市街地を含み北は森になりましたが、南東方面は残っています。ですので…… 確認完了。その人数なら行けそうです。病院は入院患者もいるので、スタッフさんは24時間勤務だそうで、逆に医療系の隊員を回せとのことです」
「ああ、そうなるよな。労働基準法か…… 何もかも懐かしい」
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