人生の目標 ~標準語版~
生きてゆくためには目標はあったほうが良い。
お金持ちになりたい。
シンガーソングライターになりたい。
you tuberになりたい。
幸せに暮らしたい。
愛し愛される人に出会いたい。
大きな目標もあれば小さな目標もある。
人が聞いてわかるものもあればわからないものもある。
僕が出会った、ある目的のために人を貶めたりマウントを取ったりする
人の話をしたいと思う。
誰もがその目的や目標を聞くと「えっ!?」そういう反応を示すと思う。
そんなことで人をけなすの?そんなことのために人を見下げたり批判したりマウントを取ったり人間関係をおかしくするの?
そう。人一倍承認欲求が強いのはもちろんの事であるが
その目的は?
「自己満足」
この究極に小さな目的のために他人を見下すのだ。
そして批判するのだ。
自分の満足くらい人の見下しとか、もめ事で満たすのではなく
もっと建設的なことを見つければいいのにと思う。
でも彼にとっては絶頂を感じるくらいの出来事なのだ。
だからその快感を得るためにそのターゲットとなった者に対して様々な圧力をかける。
ターゲットになると、やることなすこと否定される。
聞いてもいないのにアドバイスされる。
彼がこんなのあったらいいのにという話に乗っかって善意で作成したとしよう。
それに対して批判するのだ。
あなたが、こんなのがあれば良いと言うから作ったのに。
そんなものは必要ない。
そんな内容ではだめだ。
じゃあ自分で作ればいいのに。
なぜ俺が作らないといけないのか?
そう言って逆切れする。
つまり相手にしてはいけないのだ。
彼のターゲット。見下しの対象者は彼を相手にしてしまう人の事だ。
つまり相手にしなければ、反応しなければ彼は成す術がない。
しかしそんな人間が身近にいると最悪だ。
さっさと転職するか排除する事を勧める。
君の困る様は自慰のためのネタでしかないのだ。
自分の意図したとおりに対象者が動くようになるとこの上ない喜びを感じる。
それが会社の中で有力な人間だともう最上の喜びだろう。
そして批判する。
自分の言うことを黙って聞くようになるとさらに調子に乗る。
さらに批判する。
対象者が元気をなくしたりおかしくなると無上の喜びを感じる。
かなり歪んでいる。
だからそういう人間だとわかった場合にはもう排除するしかない。
組織とは個々の人間の集まりである。
その個々の人間が少しづつ壊されて行く。
個々の人間が壊れていくと組織も壊れていく。
組織が壊れてからでは遅い。
人間関係が悪くなってからでは遅い。
気が付かなければ優秀な人が次から次へと辞めて行く。
幸い、過去に似た例がありいち早く気が付いたことで損害は限りなく小さく抑えられたと思う。
そんなくだらない話だ。
僕が部長になって数年後に技術課長が定年後嘱託になるのと彼の後を任せられる人がいなかったので求人の募集を掛けた。
すると45歳の人が応募してきた。
僕は面接はしていないがテキパキときちんと仕事をする人のようだと聞いていた。
挨拶をした際にも礼儀正しくまともそうに見えたが
何処か人を小ばかにしたような目をしているのが気になった。
人の意見を受け付けなさそうな頑なな印象もある。
あくまでも個人的な印象である。何か気になる目をしている。
自分の目の届かないところで傷をつけられているような感じである。
帰宅し晩御飯の後部屋に戻りシャワーを浴びた。
「コハル。ひと月くらい前に会社に新しい人が入ってきたんだけど」
「入ったって言ってたね。どんな感じなの。仕事できるの?」
「まだまだよくわからない。なにか的外れなことで動き回っている感じだよ」
「そうなのね。何する人?」
「技術課長が定年なんだ」
「そうなの。技術の人か。何歳だったっけ?」
「歳は45歳。その新しい人は、杉内って名前なんだけどなにかがおかしいんだ」
「どうおかしいの?」
「なにか体から針が出ている感じがするんだ」
「シン、なにそれ?」
「うん。雰囲気なんだけど。あまりいい感じではない」
「そうなんだ」
「最初はどんな感じかなと思ってたけど針を感じてからは距離を置いてる」
「そうなんだ。嫌な感じなんだ?」
「そうだな。結構他人の事ばかり話しをしている。あの人はどうのこうのこの人はどうのこうの言ってるし俺の事もごちゃごちゃ言い出してるみたい」
「シンが上司なのに?」
「直属ではないけれど。直に聞いたのはやり方がどうのこうの言っていたな。
それもやり方の一つだろうけど自分の好きなようにしたらいいと言っておいた。
俺も適当に答えたしちゃんと聞いてないからわからないけど」
「そうなんだ。話をちゃんと聞いてないというのはシンがその人を嫌がってるからかな」
「もしかしたら犬嫌いの人が犬が嫌いなのがバレてて犬に絡まれてるみたいな感じかもしれないね」笑
「そうかも。近づきたくないのに何故か近づいてくる。避けているのに近づいてくるみたいな」
「そうだね。なんだかな。気分が悪い。物事をこうだと決めつけて話するからね。いちいち否定するのも面倒なんだよね」
「割と根気よく話を聞くシンがそんな風に思うなんてよほどなんだね」
「余程だね。こうやってコハルと話してたら穏やかな気持ちになれるのにな」
「私シンの会社に行こうか」
「来てくれてもいいけど給料安いよ。特に女の人は」
「そうなんだ。男女雇用機会均等法とかできて男女間の差はないと思ってたけど違うのね」
「違うな。その辺りはあからさまだね。雇用の機会が均等になっただけで待遇は差があるままだね。だから公務員のほうがいいと思うよ。でも実際はその会社がどんな人が欲しいのかで機会は制限されているよ」
「そうなんだ。私は勤めた経験がないからよくわからないな」
「そうだったね。コハルはそういう意味では世の中のサラリーマンの辛さはわから無いかもしれないね」
「シン。そんなことないよ。私はシンで勉強してるから。シンが辛いのもよくわかってるよ」
「そうか。コハルありがとう。じゃあコハルは俺の傍でずっとギターを弾いてくれたらいいのかもしれないね」
「シン、それはあれ?」
「あれだよ。俺が辛い時は疲れたような曲を演奏して、うれしいときは喜びの曲を演奏して、なんかショックを受けたときはベートーベンのジャジャジャーンをかき鳴らしてもらうとかかな」
「シン。それは完全にお笑いだよ。ドリフでやってなかったけ?」
「おお!そういえばあったな。あれ面白かったなぁ。楽しい時はハワイアンの音楽が流れたな。今度家でやってみるか」
「そうだね。気が向いたらね」
「なんだいコハルそっけないね」
「大変だよ。ギター抱えてシンのその時の感情を表現するなんて」
「まあそうだね。じゃあいいよ」
「なんだかシンもそんなに乗り気じゃないね」
「そうだな」
「シン、シャワー浴びてくるね」
「うん」
コハルがシャワーを浴びている間にいつの間にか眠っていた。
コハルも傍らで眠っている。
今日は襲い掛かってこなかったな。
俺疲れてたんだろうな。すぐ寝てこんな時間に目が覚めてしまったから。
今日って夜中の三時。明日になってるししかも目がさえてるし。
でももう目をつぶるしかない。
羊さんが一匹、羊さんが二匹。羊さんが三匹。羊さんが四匹。
・・・羊さんが三百三十五匹。羊さんが三百三十六匹、羊さんが
ベシッ!
「痛たっ」
「シンうるさい」
「ごめん。眠れないんだよ」
「もう静かにして」
「そうだな。コハル抱っこしてくれる?」
「うん。おいで」
「うん」ギューッ。
「シン。おやすみ」
「おやすみ」
いつの間にか眠っていた。
コハルの胸は温かく僕を包み込んでくれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます