第156話 それはえっちなことらしい
「ダブルデート、ですか?」
今日はメイドカフェでのバイトが休みの有希へ部室での会話を話しておく。
相変わらず有希のためだけに生まれて来たと言っても過言ではない、ミニスカートのメイド服を来て俺の面倒をみてくれる。
今も膝枕で耳かきをしてくれている。ミニスカ越しに感じる有希の膝枕は極上中の極上。
生太ももを味わったら多分理性は持たないのだろうな。今でさえ耐えている俺を誰か褒めて欲しいくらいだ。
い、いや、お、俺が無理に頼んだわけじゃなくてだな、有希が耳をジッと見て来て、
「そういえば最近耳かきしてあげてませんね」
なんて言ってくれたから、ありがたく彼女の言葉に甘えているだけだもん。
膝枕(オプション耳かき)をしてくれて、幸福度が増している時にダブルデートの話をしたってわけだ。
「最近はバイト先に新人さんが入ってきてくれました。ですのでシフトの調整はききますので大丈夫ですが……」
有希は少し困惑気味にこちらへ聞いてくる。
「それって坂村くんのため? そんなに仲良かったですっけ?」
「んー、3年になってようやく正吾以外の男子とまともに喋ってる相手だとは思うな。向こうからしたら仲が良いとは思われてないかも」
「そうなんです? では、なんでダブルデートなんです?」
「9割は面白そうだから。白川に彼氏ってのは面白いだろ」
言うとクスリと笑い声が聞こえた。
「……今までからかわれた分を精算できそうですね」
「普段そんなにからかわれてんの?」
「あることあること言われてしまって……」
「あることなら仕方ないのでは」
「しかし、『旦那と生徒会室占拠してイチャイチャしたりしてんでしょー』とか、『裸にリボンでプレゼントは、わ•た•し♡ とかやってたりしてー』とか」
「白川エスパーかよ」
確かに、あることあることだわ。
「ぐぅの音もでない次第でして」
「そりゃ、ぐぅの音も、出ないわな」
耳かきが終了したので起き上がると、有希が悪い顔をしていた。
「ですので、もし坂村くんと付き合ったら、どちゃくそにからかってやろうと思います」
「どちゃくそって」
「そのダブルデート。全力でいかせてもらいますね」
火のついた有希はやる気に満ちていた。こりゃ坂村には勝利の女神が舞い降りた瞬間だわ。
「ん、じゃよろしくってことで」
言いながら手を差し出すと有希が、この手はなんだろうと疑問を抱きながらも握ってくれる。
「ラブラブ?」
キョトンとした顔で、ぎゅっぎゅっと握ってくれるのに悶えそうになった。というか顔がニヤけてた。
「ラブラブでも嬉しいんだけどさ。そうじゃなくて、耳かき。俺も有希にしてあげようと思って」
「!?」
反射的に有希は自分の耳を手で塞いだ。
「え、えっち!」
「えっちなの?」
「そ、そそ、そうですよ! えっちですよ!」
「お互いの裸を見せ合ったのに?」
「身体はいつでも晃くんに見られても良いように仕上げてありますので!!」
とんでもない発言だけど、なんだろうね、この嬉しい感じ。特別感かあるからかな。
「お、おお、女の子の穴を見るなんてえっちです! 極めてえっちです!」
「女の子の穴を見るという発言が卑猥だぞ」
「ど、どどど、どこを見てるんですか!」
可愛らしくスカートの裾を伸ばして隠すような仕草をした。
「ほんと、すみません」
謝りながらも油断していた有希から耳かきを奪い取り、ぱんぱんと膝を叩く。
「どうぞ。有希ちゃんの大好きな晃くんの膝枕ですよ。ガーガーといびきをかいて、よだれを垂らしても大丈夫。大好きな有希ちゃんのならむしろご褒美だ」
「ぐぬぬ。発言は気持ち悪いですが、ところどころで、私をちゃん付けで呼んで誘い出す賢い作戦」
「最近のあんたのIQは絶望的に下がってるよな」
「どんな醜態を晒しても私は決して屈しない。身体がいくら傷つこうが、私の心は……心だけは晃くんのものです!」
「うん。なら早くおいで」
「はいぃ♡」
ファンタジーな騎士団長風のセリフから一転、心は晃くんのものだから、コロッとネコみたいに俺に膝枕される。
「うう。しかし、耳かきをされるなんて……」
「いつも有希がしてくれるからたまにはな」
ゆっくりと優しく耳かきをしてやると、「あ……」なんて声をもらす。
「おいぃ。変な声出すなよ。変な気持ちになるだろ」
「だ、だって、なんか気持ち良くて」
「あ、気持ちい?」
「はい。あん、そこ……」
「……狙ってない?」
「ち、ちち、違いますよ。ほんとに、あ♡」
「だめだこの子。3年になってからキャラが定まってない」
とかなんとか言いながらも、
「……晃くん」
甘い声で呼ばれてしまうので、こちらもついつい、「ん?」と甘めの声が漏れてしまう。
「ダブルデートも良いですけど、今度は2人っきりでデートしたい、です」
そういえばデートらしいデートというのを最近はしていない。付き合う前の方がデートをしていたかも。
「2人でずっと一緒にいられるデートしよう」
そう言うと顔を正面に向けて下から覗きこんでくる。
「はい」
愛らしい笑顔で返事をしてくれる。
この笑顔がまたみたいから、ガチで最高のデートを準備しようと思える。
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