第9話

「あの〜」

手紙屋の営業中誰かが訪ねてきた。そこにはセンと同じ仕事に務めているセンの同期の鬼のヨシトさんがいた。

「ヨシトさん!お久しぶりです!」

「あ!あやめちゃんだ!久しぶり!」

ヨシトさんは私より少し背が高くて、とても人懐っこい。それに愛嬌も良く友達も多い。

「おお!久しぶりじゃないか!ヨシト!」

と奥からでてきたノアさんもやってきた。

「ノアじゃーん!よっ!」

2人は昔からとても仲が良く飲み仲間でもあった。

「今日はどうしたんですか?」

と私が聞くとヨシトさんが

「最近下界で奇妙なことが起きてて……人が頻繁に亡くなっているんだ。」

「は!?なんだよそれ!」

私とノアさんはヨシトさんの話にびっくりした。でもたしかに最近よく耳にする。人がたくさん亡くなってるって……最近生まれ変わるのに私たちの仕事も量が増えてて大変だ。

「毎回死に方がおかしいんだよな……どうも下界同士の者が殺したとは思えないんだよ……」

「なるほど……」

両親も新しく天使や鬼になった人たちを歓迎して治めるのが長の役目だが、最近家に帰ってこれていないから心配だ。
















「にゃあ」

「あら、可愛い子。あなたは1人なの?」

私は家に帰る時偶然猫を見つけた。見るかぎり神獣ぽく私にとても懐いた。黒猫で目がとろんとしていてとても可愛く、撫でてあげるとご機嫌になった。すると私を見下ろす影が出てきて上を見ると

「セン!」

「あやめみっけ!」

そこにはセンがいた。センを見ると少し疲れていた顔をしていた。

「お疲れ様。仕事は大丈夫?」

「最近嫌なこと続きだよ〜。あれ?この猫は?」

猫はセンを見ると威嚇する。私はその猫を宥めるとまたご機嫌になった。

「私のこと大好きな猫さんなの」

「あはは!そりゃいいなぁ」

センが猫を撫でようとしたら噛まれてセンが泣きだしたことに笑ってしまった私であった。






















この猫名前なにがいいかな〜?と雲の上でごろごろしていると猫がにゃあと鳴いた。

私は人間だった頃の記憶を唯一持っていない。それに死んだあとは自分がどこの誰に生まれるのかもわからない。ほとんどの人は記憶を保持したまま生まれ変わるらしいが、あいにく私は持っていなかった。しかしセンは私のことを知っていると言い友達になってくれた。























「レン……」

そう呟いたとき猫がにゃあ!とご機嫌な声で鳴いた。

「気に入ったの?」

「にゃあ!にゃ!にゃあ!」

「じゃあこれからあなたのことをレンって呼ぶね?」

「にゃあ!」

レンは私の顔に頬をスリスリしてきて私はレンの温かさを感じていつの間にか眠りに着いた。

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