第10話

私が花子ちゃんに桜の花のブローチをわたすと、花子ちゃんはすごくうれしそうな顔をして、「ありがとう」その1言を言った。花子ちゃんの笑顔は、希望を与えてくれる、元気を与えてくれる、みんなを笑顔にさせてくれる桜のようだった。そのしゅんかん、花子ちゃんの体がまぶしい桜色の光と桜の花びらに包まれ、花子ちゃんの姿が消えていった。花子ちゃんが立っていた場所には桜の花びらが落ちていた。名前を呼んでも花子ちゃんが姿を現すことはなかった。その時、森川先生が私のかたをポンッとたたいた。「先生⋯?」先生の手は温かかった。「すみれちゃん。さびしくないよ。いつでもまた花子ちゃんに会えるんだから。」

私にはその言葉の意味が分からなかった。先生が見ていた目の前の大きな桜の木を見たしゅんかん、言葉の意味が分かった。先生の方を見ると、先生は私の方を見て、やさしくほほえんだ。その桜は、花が満開に咲きいつもよりすごくきれいでとても輝いていた。

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