第31話
「おいツノダ。ツノダ、もう呼び捨てにする。ツノダ!」
「はい、ツノダです。ってなんで呼び捨てなんだよ、ハルキ。なに? どっか問題?」
「いいかげんにしろよ。嘘ばっかりじゃねえか」
「なにが? どこが?」
「なにとぼけたこと言っってんだよ。まあいいよ、んで? バインランドのあの仮面、結局なにかわかったのかよ」
「ああ、あれね。はい、まだです。アンドウが言うにはおそらくカタデリー信仰の奴らとは無関係じゃないかって言ってたけどな。詳しいことは国家情報保安局が引き継ぐらしい」
「なんだよ、またなのかよ。ニッタは落ち込んでるしツノダはいつもどおりだし、ほんとどうしようもねえな」
「仕方ないだろ、お前らが仮面のことなんて首突っ込むからだろ?」
「ほらみろ、やっぱ何も考えてなかったんじゃねえか。なんで報告書の最後私がわかってて行かせたみたいになってんだよ」
「そりゃお前、そのほうが報告書感あるだろ? オトナはな、こうやって成果を形にするんだよ」
「あんたなんにもしてねえじゃねえか」
「まあそう言うな。で? ニッタはまだ落ち込んでんの? しょうがないやつだな」
「ま、仕方ないっすよ。あいつはこういうの初めてだったっすからね。まあそういう意味ではいい経験になったんじゃないすかね」
「そうだな。あ、で、ニッタの聖石。あれ、どうだった?」
「今回はあいつに魔銃撃ち込んだりはなかったんでなんとも言えないすけど、憑き物との交信は普通にやってたんでそこは大丈夫じゃないすかね」
「そうか。で、ニッタは? まだ休んでんの?」
「いや、さっきもグズグズしてたんで買い物に行かせたんすよ」
「なに? また十秒で、とか言っていかせたの? ひっどいなあ。あ、ニッタも元気でないみたいだしやるか、鍋パ」
「なんで鍋パなんだよ。しかもあんたこないだニッタを出禁にしたじゃねえか。二度と来んなとか言ってなかった?」
「あー、そうだった。でもあれはニッタが悪いよな? ウチの娘に手を出しやがったんだからな」
「出してねえよ、五歳だぞ、あんたの娘」
そこにお使いを終えたニッタが落ち込んだ様子で戻ってくる。
「帰ったっすー」
「おお!ニッタ。戻ったか! お前まだ落ち込んでんの? 俺たちイレイサーはな」
「あー、もういいっす。その話はどっさり聞いたんで。もう大丈夫っす」
「ツノダさん、あんたほんと空気読めねえなあ」
「なんだよ、空気って。んじゃああれだ、空気が読めないついでにお前らに新たな依頼だ」
「なっ?! あんたほんとにひでえな」
「うるさいよ、まあ聞け。次の依頼はアブソス絡みだ。アキからの連絡であいつらだけじゃどうにも成らないらしい」
「なっ?! なんで早く言わねえんだよ! 場所は?」
「聖王国内、グルワールだ」
「グルワールだあ? なんでまたそんなとこに行ってんだ、おい、ニッタ! 行くぞ!」
二人は急いで準備を始める。
イレイサー:spin-off version:プロデューサーの苦悩 UD @UdAsato
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