楠ノ木彩姫も葛藤する。

第肆問

「わあ、高いですね」


「そうだね。まさか最後が観覧車とは思わなかったけど」


「辺りが一望できると思ったのですよ」


「ああ、そういうことね」


「その様子だと他にも思い当たる理由がありましたか、岡部君?」


「あ、いや。そこまで深い意味ではないから」


「そうなのですね。しかしこれは」


「?」


「二人だけの密室のようですよね」


「そ、そうかな!」


「どうしてそこで慌てるのですか?」


「いや別に」


「なるほど、こうしてみますか」


「隣は近すぎないかな?」


「それでは第よん問。岡部君はどうして焦っているのですか?」


「どうしてって……その、楠ノ木さんは何とも思ってない人と二人きりになるのはどうも思わないの?」


「どうも……ですか。別段何とも思ってないわけではありませんし、その場合はどうすれば?」


「うーん……」


**


「あの、岡部君。私もう少し深く考えてみたくなりました」


「え?」


「何かわかったらすぐにお伝えします。それでは今日はこれで帰りましょうか」


「そうだね」


「今日はすごく楽しかったです。付き合って頂きありがとうございました、岡部君」


「こちらこそ。じゃあね楠ノ木さん」

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