第伍問

「楠ノ木さん?」


「えっ、と。何でしょう?」


「プリントが前から」


「ああ、ごめんなさい」


「何か今日調子悪そう?」


「あ、うーん。どうなのでしょうね……」


「保健室行く?」


「あ、いえ。その、では第問です」


「何ともなさそうかな」


「えーと、単刀直入にお伺いします。岡部君は同性愛者なのですか?」


「ゴボォ! ゴホゴホ」


「あら、そんなに激しく咳き込んで。よかったらこれ使ってください」


「ありがとう。うーん、今のってもしかして幻聴だったのかな……もう一回いい?」


「岡部君は同性愛者なのですか?」


「聞き間違いじゃなかった! どうしてそんな質問するの?」


「いえ、ちょっとそういう噂を耳にしたもので」


「誰が言ったのか知らないけど全然違うから」


「本当ですか……? 女の子に興味がないと言うのも?」


「事実無根です。本当ひどい言い掛かりだ」


「そう、なのですね。よかった」


「よかっ、た?」


「あら? 私今何か……?」


「楠ノ木さん、やっぱり今日はちょっとおかしいよ」


「そうですか?」


「いつもだったらもっと迫るような迫力があって」


「いつも迫ってましたか私……? ど、どうしましょう岡部君」


「よし、やっぱり保健室行こう?」

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