第五問

「岡部君、そこの分量間違っています。正しくは醤油大さじ1です」


「楠ノ木さん、違う班じゃなかったっけ?」


「すり替えておきましたのでご心配なく」


「何を?」


「それでは、第五問です」


「たまには話を聞いて」


「この私のエプロン姿、どう思いますか? 可愛いですよね」


「まあ」


「エプロン、可愛いね、楠ノ木さん。はい、繰り返してください。エプロンの部分はなくて結構です」


「エプロン、カワイイネ、クスノキサン」


「もっと感情を込めて頂けますか? 岡部君は本当にやる気があるのですか?」


「いやまあ……周りの目もあるから」


「岡部君。そういうことでは困るのですよこちらは」


「僕も今すごく困ってますよ」


「はいでは、もう一度」


「楠ノ木さんのエプロン、可愛いね」


「語順が違います。エプロンは投げ捨てて!」


「そろそろ真面目にやらないと先生に怒られるよ」


「大丈夫です。すでに私が怒っていますので」


「全然大丈夫じゃない……」


「――え、なになに。私達何か夫婦みたいだって? それは確かに一理あるような……」


「小さじほどもないと思う」


「さて時間のようですね。それでは元の班に戻ります」


「しまった、鍋焦がしちゃった……」

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