童話 凍えた大地と温もりの在りか
仲仁へび(旧:離久)
第1話
氷に閉ざされた冷たい大地の上。
人々は身を震わせながら生きていた。
太陽はなく、照らす光も温もりもない。
体が冷えれば、心も冷えきっていく。
凍てつく大地の人々は、笑うことも、喜ぶこともなかった。
はるか昔に太陽をなくしてから。
それきりに。
いつしか、そこに住む人々は氷の民と呼ばれるようになった。
そんな中、一人の少年が旅立ち、数か月後に戻ってきた。
小さな手の中にあるのは、温もり。
少年は、凍えた大地を温めるために、一人で過酷な旅に出ていたのだった。
戻ってきた少年のコートや手袋は、ボロボロだった。
少年は温もりを差し出す。
ほんのりと熱をもつそれを手にした者たちは、ゆっくりと溶かされていった。
ひえきって満足に動かせない体も、動かなくなっていた心も。
すると、人々の中にもともと眠っていた温もりが目を覚ました。
それは気がつかない場所にあっただけで、ずっとそばにいたのだとそう主張するように。
ぬくもりを取り戻した大地の上で、人々は生活していく。
互いにふれあい、笑いあい、交流しあう。
これまでとは違う、温かみのある生活を。
童話 凍えた大地と温もりの在りか 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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