悪魔からのプレゼント
「何⋯これ」天野利紗は、朝起きると、すぐにこう言った。ベットの下に、目も耳もないのっぺらぼうの木でできた球体かんせつ人形が転がっていたのだ。もちろん、利紗の物ではないし、見覚えもない。「何か気持ち悪い。捨てちゃおうかな。」そう言って、ごみ箱に入れようとしたが、人形が『捨てないで⋯』と言っているような気がして捨てるのをやめた。人間というのは、買いたくなくても『買って⋯』と言われているように感じて、つい買ってしまうことがある。それと同じように、利紗は人形が急にかわいく思えて、捨てずに取っておくことにした。
「でも一、顔がないとさみしいなー。」利紗はペンケースから黒のマジックペンを取り出し、顔を書いた。「うん。これでかわいくなった。」それから利紗は、毎日人形をかわいくさせるようになった。茶色の毛糸でかみの毛を作り、布でリボンとフリルの付いたワンピースを作って着せた。今日も、人形のかみの毛を結んであげようと、毛糸でできたかみの毛をさわった。すると不思議な事に気が付いた。「何かいつもよりさらさらしてる。毛糸なのに。」人形のかみの毛は少し細くなってさらさらになっていた。でも利紗はそんな事気にしないで、人形のかみの毛を結んだ。
「利紗―。そろそろ学校に行きなさーい。」「はーい。」利紗はランドセルに人形を入れ、学校に行った。学校に着き、人形を出すと、またおかしな事に気がついた。人形の関節が球体じゃなくなっていたのだ。「あれ?それに人形の体の色がはだ色になってる。」木の色から、はだ色に変わっていたのだ。「きっと誰かのイタズラだよ。」利紗は自分にそう言い聞かせた。1時間目はマラソンだった。「はあっはあっ」100m走っただけで息が苦しくなり、足が動かなくなった。しかも足を曲げると「カクン」と音がするのだ。そして⋯
手も動かなくなった。利紗はそのまま地画にたおれみ意しきがなくなった。気がつくとそこは保健室だった。手も足も問題なく動いた。教室にもどると利紗の顔が真っ青になった。人形のかみの毛がつやのある長い黒かみになっていて、服はサロペットに白いTシャツ、はだの色ははだ色。利紗のようだった。利紗は頭をかかえこんだ。すると利紗は思わず声を上げた。つやのある長い黒かみが、茶色の毛糸のようになっていたのだ。だんだん利紗のこきゅうがあらくなってきた。誰かに助けを呼ぼうと立ち上がった。すると「カクッカクッ」と音が鳴った。ふと足を見ると開節が丸くなっていて木の棒のように固くなっていた。(まるで、、私が人形になったみたい⋯!!)人形を見ると、1秒ごとに人間の体に近づいてきている。そのうち、人形から「トクン⋯トクン⋯」と心臓の音が聞こえはじめた。利紗の体から感覚がなくなってきている。周りの景色がゆがんできた。人形が立ち上がるのと同時に利紗の意識がなくなっていった。
今、ある少女がベッドから起き上がろうとしていた。少女が起き上がると少女の目に奇みょうな物がうつった。それは木でできた球体関人形だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます