アヤツリエンピツ
みなさんは、いつも学校でえんぴつを使っていると思います。でも、いくら書きやすいえんぴつを使っても、字をきれいに書いたり、教科書の問題を簡単に解くことはむずかしいことです。でも、もしも、簡単に字をきれいに書いたり、問題をすらすら解くことができる夢のようなえんぴつがあったらどうしますか⋯?
「全然できないよお一」ここは教室。小学6年生のリナはこの前の漢字50間テストで30点をとってしまったため、今は放課後にいのこりして、再テストをしている。思わず”あやつる”とか”けいざい”とか分かんない〜!!」と叫んでしまった。でも再テストをしているのはリナだけなので、ただリナの声が教室にひびきわたるだけだった。「もう、このまま出そうかな⋯」リナがテストを出そうとしたとき、ある物が目にとまった。「えんぴつ⋯?」それは、深いやみのような黒いえんぴつだった。まだけずったばかりなのか、しんはとがっていた。リナはきょろきょろ周りを見わたして、先生もクラスメートもいないことを確にんして、えんぴつを手に取った。テスト用紙の空白のところに円をかいてみると、まるでコンパスを使ってかいたような円が紙に現れた。自分の名前の「緑川里菜」と書いてみると、まるでパソコンで打ったようなきれいな文字が紙に現れた。いくらかいてもしんはとがったまま。「これなら、ずっとかいてられる!しかも頭もよくなった気がする!」図形や文字を書いている.と、「あやつる⋯”操る”だ!」ぱっと漢字を思い出し、さらさらっと書くことができた。その後、”経済”や”針葉樹”なども思い出して書くことができたテスト用紙は全部うまり、(落書きはケシゴムで消した)90点はとれそうだ。「これがあれば、勉強が楽にできる!初めて”あやつる”を漢字で書けるようになったときのえんぴつだから、アヤツリエンピツと呼ぼう!」リナはテストを出し、アヤツリエンピツをペンケースにしまった。次の日、学校に行くと、先生に、「緑川、すごいじゃないか!90点だ。よくがんばったな。」とほめられた。自分のえんぴつで書いたところは全部まちがえていたが、アヤツリエンピツで書いたところは全部当たっていた。「全部アヤツリエンピツで書けばよかったかなあ。そうしたら100点だったのに。」そう思ったが、苦手な漢字で90点をとることができたのは、すごくうれしかった。家に帰ると、お母さんにもほめられ、夕食はリナが大好きなハンバーグだった。(アヤツリエンピツのおかげで、テストも90点とれたし、ハンバーグも食べれたし、一石二鳥♪)
そしてリナは、どの教科でも100点をとれるようになった。いくら書いても減らないアヤッリエンピツは、リナの宝物になった。そして、書けば書くほど、成績がよくなり、今では、何もしなくても答えが頭の中にうかぶようになった。
「今から、算数のテストをする。」先生が言った。みんなが「え〜!?」や「やだ〜!!」と言っている中、リナだけは、(こんなの簡単♪)と、よゆうな態度をとっていた。テスト用紙が配られ、「緑川里菜」と名前を書き、1問目を見た。『①7/9÷という4/3』頭の中に『7/12』という数字がうかび上がった。リナはアヤツリエンピツで『7/12』と書いた。他の問題もどんどん答えを書いていった。『1/3分=分』という問題で、『20分』という答えが頭の中にうかびあがり、『20分』と書こうとしたとき、リナはなぜか『呪』と書いてしまった。(あれ、今、書こうとしていないのに⋯)リナは『呪』の字をケシゴムで消し、『20分』と書き直した。そして、テストが終わり、次の国語の授業の時間になった。「今日は、『(※身内ネタにより省略)』という漢字のドリルを進めましょうというとで、漢字ドリルに取り組んでいた。アヤツリエンピツを使っているため、字はパソコンで打ったような文字が次々と現れていく。
「ん⋯⋯?」手が思うように動かなくなった。自分の手が勝手に動き、『呪』の字が紙に現れていく。左手で右手をおさえても、手の動きは止まらない。「止まって⋯!止まって!!」誰がに助けを呼ぼうとした。⋯が、(今、みんなに言ったら、字がキレイなことも、勉強ができることも、全部ズルしてたことがバしちゃう!!)口をおさえた。そう考えているうちにも、手は動き続けている。(あれ⋯!?)右手の感覚がなくなった。まるで、自分の手じゃないみたいだ。誰かに操られているような⋯。操る⋯あやつる⋯アヤツル『アヤツリエンピツ』その言葉が頭の中にうかんだ。「止まらない、誰か⋯誰か助けてー!!!」
みなさん、どうでしたか?リナは、自分のカではなく、エンピツの力をかりて、テストも、楽に、字もキレイになりました。でも、『アヤツリエンピツ』に、手を操られていたのです。今もリナは『呪』の字を書き続けているのでしょうか。でも、エンピツだったら、書き続けていれば、いつかはなくなります。だから安心ですね。⋯あ。でも、アヤツリエンピツはいくら書いても減らないエンピツ⋯。
もしも、簡単に字をきれいに書いたり、問題がすらすら解くことができ、いくら書いても減らない夢のようなえんぴつがあったらどうしますか⋯?
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