理科室のランプ

「あー!もうめんどくさい!」小学6年生のサツキは、理科室のそうじをしていた。

「理科室って意外と広いからね。」いっしょにそうじをしていたカレンが言った。

「あれっ?電気、あれだけ赤く光ってない?

サツキはびっくりしたように言った。「え?そう?別にふつうに見えるけど……」カレンにそう言われて、サツキは目をこすってもう一度見てみたが、やっぱり赤く光っているように見える。「きのうゲームいっぱいやったから目がつかれているのかも。やっぱり、やりすぎはよくないねー。」サツキは明るくそう言ったが、(私の目、どうしちゃったんだろう)と、少し不安になった。


家に帰って、今日のことをお母さんに言い.眼科に連れていってもらったが、眼科の先生に、「特に目にいじょうはありません。目のつかれだと思います。」と言われ、お母さんにも、「目がつかれていて、電気が赤く見えたんじゃない?」と言われた。

そして次の日、またカレンとそうじをしていた。サツキは電気を見ると、やはり1つの電気だけ赤く光っている。それも、あざやかな赤ではなく、血のような色の赤に。やっぱりおかしいとサツキは思い、カレンにそのことを言った。すると、カレンは急にだまりこんだので、サツキが「どうしたの?」と聞くと、顔を真っ青にして言った。

「 サツキ…教えてもいいかな…」


「え…?何…?」サツキはいやな予感がした。

「きのう、サツキのことお姉ちゃんに話したの。うちのお姉ちゃん、今高校3年生なんだけと、サツキのこと話したら、昔からあるこの小学校の七不思議みたいなのを教えてくれて…。それは理科室の怪談でね…。昔、ある女の子が理科室のそうじを

していたんだけど、急にフラスコとかが入っているたなが開いて、フラスコがたくさんふってきたんだって。もちろんフラスコは女の子に当たって、しかもフラスコが割れて、ガラスのはへんが女の子の体にささって、血だらけになって死んだんだって…」


「話はこれで終わり⋯?」サツキはそう聞いたが、「まだ続きかあるよ。」と言い、続きを話し始めた。「その女の子は血だらけになって死んだけど、自分が死んでまったことが悲しくて、くやしくて、誰かを同じ思いにさせてやる!って、今も

理科室にいるんだって⋯。姿が見えないように、理科室の上の方、つまり電気のところに。⋯だから電気が赤く見えたのは、その女の子がその電気のところにいて、自分の体から血がたれて、電球に血が付いていたからだと思う⋯」

「じゃあ、私死ぬの⋯?」そうサツキが開いても、カレンは何も答えなかった。

「カレン、私のこと助けてくれるよね⋯?」サツキは泣きながら言った。でもカレンは、「サツキ

⋯ごめんね。」と言い、理科室を出ていった。


カレンが「サツキ⋯ごめんね⋯」と言った後、理科室にもどってくることはなかった。(自分だけが助かりたいから友達を見捨ててにげるなんて…ひとけよ⋯)サツキはとても悲しい気持ちになった。のうまで、ふつうに学校に通って、ふつうに友達のカレンと遊んで、ふつうに理科室でそうじしていた。(なのに急に私だけ、何で不幸なことが起こるの?)その時!サツキの日の前にあったフラスコのたなが開き、大量のフラスコがふってきた。フラスコが「パリンッ」と割れる音が鳴りひびいて、サツキの意しきはなくなっていった。


そして、サツキが死んだ次の日⋯

サツキは、死体が見つからないので、「行方不明」とされていた。でも、カレンだけは事実を知っている。今日はカレン1人で理科室のそうじをしていた。「きのう、理科室からにげてよかっ

たー。もし理科室に残っていたら、私もサツキみたいになっていたかも!それにしても、七不思議は本当だったんだ。⋯っていうことは、誰かを同じ思いにさせるために、電気のところにいるってこと⋯?

でも、私とサツキは友達だから、サツキは私を選ぶはずないよね!」そして、カレンはほうきをそうじロッカーにしまい、ぴかぴかになった理科室を見わたした。

「やっぱりきれいになると気持ちがいいなー。⋯え!?」


カレンが目にとめたもの、それは赤黒い血の色をした理科室のランプだった。

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