本当に起⚫⚫怖⚫話

星宮スズカは小学6年生で、今は学校の図書室に来ている。休み時間にはいつも図書室に行き、「海の冒険」という小説を読んでいる。今日も「海の冒険」がある本だなに行くとスズカはある本に目をとめた。それは見たこともない本だった。表紙には『本当に起⚫⚫怖⚫話』とかいてある。古い本なのか、文字が読めなくなっているところもあるが、おそらく「本当に起きた怖い話」だろう。とスズカは思った。今日はこの本を読んでみることにした。1つだけ話がのっていて、題名は「人形の目」。ある女の子が大切にしていた人形の目の色が、ある日とつげん赤色になってしまったという話だった。ページの最後には、「望月マリエさん(少4)4月3日に体験」と書いてある。マリエという人が4月3日に体験した、というとだろうか。よく本当にあった怖い話の本はあるが、名前と日付がのっているのはめずらしい。そしてスズカはこの本が気に入ったので毎日読むようになった。でも少し疑問に思うことがあった。毎日話が増えているのだ。しかも本も少しずつ分厚くなっているような気がする。それに、この本を読むようになってから、スズカの周りで不思議なことがよく起きるようになった。でもスズカはそんなこと気にしていなかった。ある日のこと。今日の話は「呪いの鏡」という題名で、とある小学校で女の子が鏡にすいこまれてしまい、元の世界にもどれなくなった。という話だった。最後には「前田アスミさん(小6)4月9日に体験」と書いてあった。スズカはその名前に聞き覚えがあった。そう、同じクラスのアスミだ。でも同じ名前の人はいてもおかしくない。ぐうぜん同じ名前なだけ。そう思った。

ところが、次の日の4月9日にアスミが行方不明になってしまったのだ。学校の前にはパトカーが何台かとまっていて、警察もきている。でもしょうこが全くないらしい。

(もしかして…あの本と同じ…?)

今、思うとあの本は不思議だらけだった。毎日、話が増えているし、毎日本が分厚くなっているし、体験者の名前と日付が書いてあるし、本にあったことが起きたし…もしかして…もしかして…「前田アスミさん(小6)4月9日に体験した」ではなく、「前田アスミさん(小6)4月9日に体験する」だった…?「本当に起きた怖い話」ではなく、「本当に起きる怖い話」…スズカは図書室にかけこんだ。本はきのうよりも分厚くなっている。本を開くと、スズカの顔が真っ青になった。足が、がくがくふるえている。そこにはスズカの名前があったのだ。「百本のナイフ」ある少女が歩いていると空から百本のナイフがふってきて、その少女は血まみれになって死ぬという話だ。その下には「星宮スズカさん(小6)4月9日に体験」と書いてある。(4月9日って今日…私…死んでしまうの…!?)百本のナイフがふってくるなんて、想像するだけでぞっとする。(血まみれになる…血まみれに…)スズカは泣き出しそうになった。でも泣くこともできないほどの怖さだった。そのとき、スズカは頭上に強いしょうげきを感じ、そのしゅんかん意しきがなくなった。


それから1ヶ月後…。ある少女が図書室に行った。そして見なれない本を見つけた。その本は古い本なのか文字が読めなくなっているところもある。そして百科事てんよりも分厚い。少女が本を開くと「雨の日のかくれんぼ」と書いてある。そして「杉村カナ(小6)5月9日に体験」と書いてあった。「私の名前…?」

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