第39話 お仕置きタイム or ご褒美タイム
その後、思い付きの計画で、俺を失恋させてしまったとしょぼくれるポンコツ猫(りんご)を強制的にシェアハウスに連れ帰った後、猫カフェで買ったある物を身に着けるよう奴に頼み、リビングのソファで待ってくいると…。
「言われた通り、身に着けて来ましたけど…。私はこの格好で何をすればいいでしょうか…?」
「…!//ほ、ほほぅ…?」
猫のワンポイントイラストのついた可愛いエプロン&猫耳を身に付けたりんごは、殊勝な顔で俺の前に進み出て来た。
ちなみにデート中のブラウス&ショートパンは着替えずにそのままエプロンを身に着けているらしくエプロンの下部分は何も身に着けていないかのようにニーソを履いた太ももが覗いていて、なかなか悪くない眺めだった。
してもいない失恋の責を問うて、りんごにそんな格好を強いた事に若干の罪悪感をおぼえつつ、一方で、よくやった俺!と自分を褒めてやりたい気分でもあり、暴走が止まらなかった。
「さ、流石猫、猫カフェのエプロンが似合うじゃないか。何でもするって言ったよな。
では、その格好で、失恋したご主人様を癒やすべく、こっちに来て、膝枕でもしてもらおうか?」
「え、ええっ…っ!?///」
チラリと太ももを見てのスケベな俺の提案に、りんごは大声を上げた。
「そんなっ!膝枕だなんて、恥ずかしいですっ…。///」
組み合わせた指をモジョモジョさせて、恥じらうりんごに、俺は肩を落として見せた。
「ああ。嫌ならいいんだ。そうだよな。猫。には荷が重過ぎたよな?気にしないでくれ。どうせ俺の気持ちなんて誰も分かってくれないんだ…。」
そうして、寂しげな瞳で遠くを見ると、案の定奴は必死に言い縋って来た。
「ま、待って下さい!分かりました。やります。やりますから…!」
よし!一旦引いてりんごのやる気を引き出す作戦成功!
心の中で、ガッツポーズを取った。
「けど、普通に膝枕するのは、やっぱり恥ずかしいから…あっ!そうだ!浩史郎先輩!耳かきしながらというのはどうでしょう?ただの膝枕より、数倍癒やされますよ?」
「え。」
りんごにキラキラの笑顔を向けられ、俺はゴクッと息を飲んだ。
それ、俺を気遣って言ってくれてるんだよな?まさか、邪な俺の思いを見抜いて、逆に耳かきで復讐しようとしてないよな?
しかし、膝枕の誘惑は抗いがたい。
「よ、よろしくお願いします…。||||
りんごさん、優しくして下さい…。」
「なんで急に丁寧になるんですか?」
敬語で頭を下げる俺に、りんごは不思議そうに首を傾げた。
*
*
そして5分後ー。
コリコリ…。
カサッ…。
プニプニッ。
耳と(太ももに当たっている)顔に心地よい刺激を受けつつ、りんごに膝枕で耳かきされる俺の姿があった。
「う〜ん。そんなに汚れてないけど、壁際にちょっとあるの剥がしますね。浩史郎先輩、どうですか?気持ちいいですか?癒やされますか?」
「あ、ああ…。すげー柔らかいな…。」
「え?柔らかい??」
「いや、間違えた。すげー気持ちいい。癒やされるよ…。」
慌てて言い直す俺に、下のアングルから見るりんごは、嬉しそうににっこりと笑った。
「よかったぁ…!
私もお母さんに耳かきされるの大好きで今でも時々してもらうんですよ。
私も誰かに耳かきしてあげたいと常々思っていたんですが、かっくんといーちゃんにはいつも断られちゃって…。」
「……。」
今でも、お母さんに、耳かきしてもらってんのかよ。
まぁ、りんごは家庭の事情複雑だったし、お母さん子だもんな…。素直に甘えられるようになったならいい事か…。
りんごの双子妹、弟の気持ち、ちょっと分かる気がする。落ち着きのないりんごに耳かきされるのちょっと怖いと思ってしまったもんな…。
苦笑いを浮かべた俺に、りんごが、ティッシュに取れたものを見せて来た。
「ホラ、収穫…!!今度は逆向きにしてください。」
「あ、ああ…。ありがとう。」
礼を言い、右耳を上にして、りんごの太ももに顔を横たえると…。
プニプニッ!
いい!この感触。やっぱりこいつ、太ももは、結構肉付きいいなぁ…。
スリスリッ…。
「わっ!擽ったい!//」
思わず、頬を擦り寄せてしまい、りんごは小さく悲鳴を上げた。
「あ、す、すまん。すわりが悪かったもんで、微調整をしようとしてつい…!」
「い、いいですけど…、耳かきしてるときは危ないから、大人しくしてて下さいね?」
言い訳をする俺にりんごが少し顔を赤らめて注意してきた。
俺は神妙な顔で頷き、じっとしていると、やがて、りんごはもう一方の耳を掃除し始めた。
コリコリ…ッ。
カサカサ…ッ。
プニプニプニッ。
「そう言えば、何で、明らかに太ももが枕になっているのに、「膝枕」って言うんでしょうね…?」
例によって心地良い刺激を受けながら、りんごが上から問いかけて来る。
「……。」
「太もも枕」だと命名がエロ過ぎるからじゃなかろうか?と思ったが、自分の今のエロ心を読み取られそうで言えなかった。
「よっと。浩史郎先輩のは、カサカサタイプですね?私と一緒だ。
家族は皆ベタッとしたタイプで、一人だけ違うからちょっと寂しかったんですよね。
でも、よかった!仲間がいて…。」
「…………。もし、俺達が、このまま…。」
「え?」
ボソッと呟きかけた言葉を問い返され、俺は
慌てて誤魔化した。
「な、何でもない…。///」
「??」
何を言おうとしてるんだ、俺は…。
『もし、俺達が、このまま結ばれて、子供が生まれる事があったら、その子は、俺達と同じようにカサッとしたタイプで、やっぱり、りんごに耳かきをしてもらうんだろうか?』
とか…。
そんな先の事を、プロポーズみたいに語ろうとするなんて…!
しかも、耳かきの話題なんて全然ロマンチックじゃない…。
熱くなる頬を隠すように、下を向こうとすると、りんごに怒られた。
「あっ。動いちゃダメですよ?
ふふっ。浩史郎先輩、耳が赤い。もしかして、眠いんですかぁ?
私もお母さんにやってもらってる時、気持ちよくてそのまま寝ちゃう事あったなぁ…。
寝てもいいですよ…?猫が見守ってますからね…?」
「……。」
優しい呼びかけが、スッキリした耳に響き、俺は魔法にかけられたかのように瞼が重くなるのを感じていた…。
*あとがき*
いつも読んで頂き、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます
m(_ _)m
次話は、2/20(火)投稿になります。
ご迷惑をおかけしますが、今後ともどうかよろしくお願いします。
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