第19話 バカには見えない◯◯
※性的表現がありますので、苦手な方はご注意下さい。
また、15歳以上の閲覧でお願いしますm(__)m
ふと気が付くと、水着にパーカーを羽織った格好で縁側に寝転がっていた。
胸の上には先程読んでいた心理学の本が広げてあり、起き上がると同時にパサリと音を立てて、縁側の床に落ちた。
「あれ?俺…どうしたんだっけ?」
りんごと柿人くん、苺ちゃんが来るまでにプールの準備をしていた筈だったのだが…。
庭には既に水の入ったビニールプールが用意されていた。
準備をし終わって、りんご達の着替えを待っているうちに寝てしまったのだろうか。
なんか、すごい夢を見ていたような…。
プール中にハプニングでりんごの胸を見てしまったり、更にとんでもない場面をりんごの母親に見られたり…。
でも、夢だったのか、そうか…。
俺はホッと胸を撫で下ろしたが、何故か少しガッカリもしていた。
なんだ…。あの白い胸は、ただの俺の妄想だったのか。
ていうか、そんな夢見るなんてどんだけ欲求不満なんだよ?俺!
「浩史郎先輩!準備できました?」
後ろからりんごに声をかけられて、俺はビクッとなった。
いや、あれは夢だったんだ。俺に前科はない!
「お、おう!プールの準備はバッチリだ。りんごはもう着替え終わったの…か…。??!」
爽やかな笑顔で後ろを振り返った俺は目の前の光景を信じられない思いで見詰めていた。
「はい!こっちもバッチリです。」
りんご嬉しそうに一糸纏わぬ姿で、こちらに近寄って来た。
「どうですか?今年流行りの水着なんですよ?可愛いでしょう?」
見て見てというように、手を広げてこちらに見せて来るりんごはやはり全裸であった。
夢の中で見た通りの小ぶりの可愛らしい胸、そして下は…。
結構体毛薄いんだな…。
ともすれば、奥まで見えてしまいそうな…。
ちょっと角度を変えて鑑賞してみるか…?
じゃない!
「りり、りんご?気でも違ったのか?」
「え!このデザイン斬新過ぎましたか?肩のフリルちょっと派手だったかなー?」
りんごは恥じ入って肩の当たりを抑えていたが、そんなところよりもっと他に隠すところがあるだろう!と俺は突っ込みたい気持ちでいっぱいだった。
俺は今更だが、後ろを向いて、
「いや、あのな。りんご、柿人くんと苺ちゃんと一緒に着替えてたんだろ?二人に何か言われなかったのか?」
「ああ、いーちゃんはデザインすっごい可愛いねって褒めてくれて、かっくんはりんごには大人っぽ過ぎて似合わないって言われちゃいました。」
??
いや、デザインも何も…。
大人っぽいどころか…。
俺は二人の感想を聞いて首を傾げた。
「もしかして、浩史郎先輩…、この水着見えてないなんて事…ないですよね?」
「え?」
りんごに恐る恐る聞かれて、俺は心臓が跳ねた。
「実はこの水着、“バカには見えない水着”なんです。」
??!
「私にもいーちゃん、かっくんにも見えているのに、賢い浩史郎先輩に見えてないなんて事…、ないですよね?」
俺はゆっくり振り向いて、もう一度りんごの姿をよく見てみた。
うん、先程と全く変わらない姿のりんごがそこに居た。全裸だ!それは間違がない!!
が…。
「あ、ああ。もちろん見えてるよ!何言ってるんだよ、りんご?ちょっと斬新なデザインで最初びっくりしたけど、よく見たら結構似合ってるんじゃないか?」
俺は引き攣りそうな口元に爽やかな笑みを浮かべりんごに応じた。
「で、ですよねー?よかったぁ!」
りんごはホッとして笑顔になった。
「じゃあ、私先にこのおもちゃ持ってプールに待機してますねー?二人が出て来たら案内してあげて下さい。」
と言ってスタスタ歩くと、りんごはそのまま縁側から庭に出て行こうとした。
ああ、お尻の形も結構キレイじゃないか?
思ったより肉付きもよくて、柔らかそうな…。
白い背中もなかなか…。
後ろ姿に思わず見惚れつつ、見送っていた俺ははっとした。
じゃない!まずいだろ!!
「ちょ、ちょっと待て、りんご!そのまま庭に出るなよ!!」
庭には生け垣があるので庭が丸見えにはなっていないものの、高さはりんごの胸の高さぐらいしかなく、
大人で背の高い人なら容易に中を覗けてしまいそうだった。
俺はりんごの後を必死に追いかけた。
が、慌てていたので、庭に出たところ、ホースの水出濡れていた芝生のところで思い切り滑った。
「わわっ!」
「え?浩史郎先輩、何…っ。わあぁっ!!?」
ドボーン!!
プール手前で驚いたように振り返ったりんごを押し倒したまま俺達はプールにダイブした。
ブクブク…。
水の中でりんごの裸の胸に顔をうずめながら、俺は生まれて初めて思った。
バカでよかったと…!!
*
*
*
「ハッ!!」
気付いたら俺はベッドの上で飛び起き、荒い息をついていた。
「はぁ、はぁ、夢…か…?」
そ、そりゃそうだよな…。
バカには見えない水着とかあるわけないし、状況も整合性がとれてなくて、なんか、色々おかしかったし…。
あぁ〜でも、りんごの眩しい裸体は夢だったのか、そうか…。
俺はホッと胸を撫で下ろしたが、何故か少しガッカリもしていた。
「ああ〜。夢だったのなら、もっとすごい事しておきゃ、よかった…!」
そう呟いてしまったのは、思春期男子として無理からぬ事であったろう…。
あとがき*
いつも読んで頂き、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます
m(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます