take・86

「で、何だよ?何か言いかけてなかったか?」

「あの女のせいで言う気失せた」

「正直に人のせいにしていて偉いですな」

「うるさい黙れ」


いつもの顔に戻った事を確認し、皆のところへ急ぐ。


「何してたのよ。早くホテルに行くのよ‼」

「何も準備してねぇよ」

「私の家の使用人が届けてくれるわ」

「どんだけ準備早いんだよ・・・」

「もう、二人共部活なんだからちゃんと真面目にやってね」


文句ばかり言っていても仕方がないが、文句しか言いたくない合宿がこの夏の思い出になってしまいそうだ。でも、美少女達と寝食を共にする合宿というのも悪くない・・・。

って、いつも共にしているので変わらないか・・・。


ただ仕事が増えただけの夏が今、始まろうとしている・・・‼



「言っとくけど風呂覗いたらダルマザメの餌だからな。まぁ、アタシらは覗くけど」


何でクジラみたいに肉を抉り取られなきゃあかんのだ。普通にサメでいいだろ。いや良くないわ。てか覗くな。


「何言っているのかしら咲川さん。善樹君は私と自室の露天風呂で美しい景色をバックに大人の階段をバックで登り明かすのよ。お子様は精々大浴場で平泳ぎでもして怒られていなさい」


ちょっと良く分かんないけど、後ろ向きで登るのは危ないよ。俺は泳ぐ派だから露天風呂で泳いじゃおうかな。


「そのまま塀も登って高飛び込みでもしてろ」

「私合宿なんて初めてだよ。楽しみだね、田中丸君」


さっきの会話の後にそんなセリフを吐けるのは貴方だけですよ湯川さん。



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