take・82
「真面目にやれよな」
「お子様は静かにしてなさい」
先程までいい年こいて取っ組み合いをしていた十六歳児には、真面目にだとか言われると無言で殴りたくなるが、清らかな俺なのでそういう事はしませんよ。決してな。
「何用でしょうか?」
「はい、僕たちはですね・・・」
「ヨっくん‼一緒に更衣室行こ‼」
「黙れ。はい、何でしょうか?」
「はい、僕たちは・・・」
「ねぇ~、行こうよ~、今なら‼ウチのおっぱい見放題~‼、で、どう?」
「黙れ。すいません。湯川、コイツ、取り押さえといてくれ」
「分かった」
明らかに向こうの女子が引いているが、それくらいじゃ我が屋内活動クラブは揺らがないのだ。
「だい・・・、じょうぶ、ですか?」
「あいつは大丈夫ではないですが、俺達は大丈夫なので。で、要件は?」
「はい、僕たちは水泳部というものをやっておりまして・・・」
「お断りします」
「・・・、え?」
「ですから、お断りします」
「いや・・・、あの・・・」
「男割りします」
「あ、噛んだ」
「新しいサービス始めようとしてる?」
「冷やし中華的な?」
「もう夏だしね」
言いたい放題いってもらって誠に光栄である。向こうの方々にも好評なようなので、誠に光栄である。
「以上です。よし、お前ら、撤収~」
「了解したわ」
「ほ~い」
「ヨっくん更衣室行こ~よ~」
「お前は早く着替えろ」
確実に胡散臭そうな男とは関わらない、それが田中丸善樹である。指揮官として、素早く的確な判断を下し、仲間を導かねばならないのだ。
「一緒に夏合宿に馳せ参じてはもらえないだろうか⁉」
「・・・・・」
何だか真面目かつしっかり学生っぽいイベントなだけに話を聞いてしまう訳がないだろうが何だコイツ等。
「あの・・・、僕達屋内活動クラブなんだけど・・・」
「はい、存じておるに限る」
「無理でしょ・・・、他を当たってくれさい」
「いや、他の部活も用があると言っているので、君達に限る。校長にそう言われた事だ」
コイツどこ出身なんだか全く分からないがまず分かるのは校長に売られたという事だ。俺は禿げ頭じゃないと高校の校長とは認めたくないので、あの髪の毛を全てチャラにしたいと思う。
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