take・78
「そうだ、さっきから聞こうと思っていたんだが・・・」
「何?」
「お前・・・、服は・・・?」
いきなり襲い掛かってきたこの弓削必闘身という女は、みんなが望んだ通り何故か衣服を身に纏っておらず、ブラとパンツという実に季節感溢れる「涼」な格好をしていたのである。
「こういうの・・・、男子はたまんないでしょ?」
「あぁ、急に拉致られなくてこんな埃っぽい場所に連れ込まれなくてお前がアホじゃなかったら今頃ドキドキだぜ」
こんな格好の奴相手にドキドキするタイミングなんてエロゲの世界の中でしか訪れねぇよ。
「またそうやって冷たい事言うじゃん‼そりゃまぁ・・・、こんな格好ってのはあんまり良くなかったかもだけどさ、ヨッくんをやっとゲット出来たと思ったらさ、そりゃ興奮するじゃん?」
興奮すると脱ぐとか、もう「ごめんなさい」としか言いようが無いぜ・・・。
そしてその中でもまだ俺にべたべたとくっ付いて離れないその根性には恐れ入るぜ。
「一応分かったので・・・、そろそろ退いて頂けませんでしょうか?」
「あ、ごめんごめん、暑かったよね。でも、退いたら逃げるとか・・・、無しだからね?」
コイツ・・・、意外と察しがいいな・・・。
「安心しろ。久々の親友との再会で逃げ出す奴なんて俺は一人しか知らんぞ」
「え⁉そんな人いたの⁉」
「あぁ、いるさ・・・」
「いる・・・?」
外に人がいない事を確認すると、俺はヌルリと起き上がりドアノブに手を掛ける。その一瞬の出来事に、必闘身はその野生の本能を充分に発揮し、あろう事か俺の足にしがみ付いてきた。
「おい、離せアホ」
「ヤダ‼逃げないって言ったじゃん‼」
「嘘も方便と言うだろうが」
「何か違う‼」
足に半裸女を付けた状態で何とか倉庫から脱出するも、状況が悪い事に変わりは無い。むしろ悪化の一途を辿っている。
こんな時、アイツがいてくれたら・・・、何て思ったりしたりするが、それは全く逆の意味で今あの人が来たら更に面倒くさい事に・・・。
「何してるの・・・?、田中丸君・・・」
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