take・45
「可愛い子には・・・、可愛いって言う・・・、かな?」
「ただのナンパ男じゃん」
大きなミスをいとも簡単にやってのける所は、やはり俺のチャームポイントである。
「そ、そんなこと無いぞ。俺なんかそこら辺のウェイ系の奴らとは比べ物にならないくらい会話がしっかり下手くそだぞ」
「それは自信満々で言う事じゃないよ」
「でもそうだろ?蜜鎖とか早生とか湯川だって他のクラスメイトと普通に話してるだろうけど、俺なんか誰とも会話してないに等しいぞ」
「それは・・・、田中丸君が転校初日に棕櫚さんと柿沢先生を口説き落としたからでしょ?」
「そんな事をした覚えは決して無い」
俺はなんでこう、頭がおかしい方々と出だしからエンカウントしてしまったのだろうか・・・。
不幸というより、運命的な、呪い的な何かを感じるのは俺だけか・・・。
「でも、棕櫚さんだって、他の女子とかと話してるの、私見た事無いよ?」
「え?そうなのか?」
「うん。私だって部活以外では口利いてもらえないし、他の女子に話しかけられても「分かった」とか「ありがとう」くらいしか言ってるの見たことない」
あの女、まさか本当に自分と俺だけの世界を望んでいたりしないよな・・・。
全く何を考えているのやら。
「咲川さんだって、まぁ、一年生だから普段は知らないけど、廊下で歩いてる時はいつも一人だよ」
「あぁ、早生は馬鹿だし、人付き合いとか高難易度なもの到底無理だと思うぞ」
「そう言う事を平気で言う田中丸君も充分子供っぽいと思うけどね。そういえば、棕櫚さんにこの前聞いたら、善樹君意外と話すと基本的にこの世から消したくなってくるから話さないって、言ってた気がする」
一体あの子はどんな思考回路しとるんだ。
「湯川は部活以外で、どんな人と話してるんだ?」
「席が近くの人・・・、かな?」
その内の一人、俺じゃん。貴方一番後ろだからあとはその他二方向しかないじゃん。貴方も俺と似たかよったかでは?
「確かに基本的に湯川、席から動いていないような・・・」
「だって、特にトイレ以外用無いしね」
こんな事を言ってしまう、実に無気力な湯川だが、今現在このバスがどこに向かっているのか全く分からない俺にとっては、実に頼りがいのある人物なのである。
行先が分からないので頼るしかないのである。
「何か渋滞で進まなくなってきたな」
「まぁ、気楽にいこうよ」
「まぁ、まだ昼前だしな。尻は痛いけど」
「お尻が痛いのと昼前なのとの関係性は何?」
「聞いたところで君にそれが理解出来るのか?」
「まだ元気そうだから心配しなくていいね」
「寝ていい?」
「絶対、ダメ」
何でですか・・・?
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