take・41

意外に優しい早生さんのお言葉に甘え、湯川の事は任せて先に卓に着く。


「いただきます。・・・、う~ん」


普通に微妙な味付けであるからして、ぶっちゃけ・・・、美味しいとは言えない。

でも、これもまた味わいである。俺、いい事言った。

そこらの自称料理研究家みたいな輩であれば、「基本がなってない」とか、「本当に味分かってんのか」だとか、心無い言葉を吐くのだろうが俺はそんな酷い事はしないぞ。

俺はしっかりと早生の将来の事を考え、アドバイスを含めて評価をする。それが教育者のあるべき姿だと、俺は思う。


「早生~、これ何でこんな味になったんだ~?」

「その人様を煽りに煽った探求心には目を見張るモノがあるなこのノーデリカシーカス野郎」

「お褒めに預かり光栄です、シェフ」

「よし、お礼に次の一口はアタシが喉の奥底に届くようにあ~んしてやるよ。その方がきっと美味しいぞ」

「お腹一杯だからもう二度といらない」

「マジで殺すぞ」


お褒めに預かり光栄です、シェフ。


「あれ、湯川はどうしたんだ?下着、ちゃんと貸してやったんだろ?」

「・・・、自分の目で確かめてこいよ」

「?」


何だかまた覗こうとしているみたいで、ちょっと、ちょっと気が引けるがしょうがない。


「おい、湯川?大丈夫か?」

「あ・・・、今はちょっとダメ・・・、かな」

「何で?どうした?」

「上手く・・・、着けられなくて・・・」

「何が?」

「・・・、田中丸君ってさ・・・、ちょっと・・・、バカ・・・、だよね」

「何で?」

「そうやってさ、何か言われてもすぐに返ってくるからさ、何も考えて無いのかなって、バカなのかなって」

「あ~、うん、で大丈夫か?」

「もうどっか行ってていいよ」

「え、何か酷い」

「それは田中丸君だよ」

「何で?」

「次「何で?」って即座に返ってきたら二度と口利かないから」

「・・・、何故・・・、でしょうか?」

「怒るよ?」


あれ?俺はどこで間違えたというんだ・・・?

ただ、普通に話していただけで・・・。ま、まさか‼


「今、裸なのか?」

「ブッ飛ばすよ?」


よし、俺はやはり冴えているぞ。俺は間違っちゃいなかった。

このままこのまま、この調子で状況を整理し、この危機を脱する‼


「もしかして・・・、早生の子供用下着じゃ、やっぱり入らなかった?」

「・・・・・・」

「おい」

「あ、早生さん。君の子供用下着じゃ、やはりダメだったようだよ」

「お前、後で色々と説教な」

「?」

「田中丸君」

「はい、何でしょう?」

「私も、後で話があるから」


・・・、女の子って、大変なんだな・・・。

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