take・38
第五章
遂に6月も半ば、期末試験の季節になった。みんなも分かっていると思うが、試験なんて世の学生が何よりも嫌いな所業である。簡単に言うと、クソくらえである。まぁ、別に俺は勉強が苦手な訳ではないし、特にこれといって苦労をした経験は無いが、誰しもが不安に駆られる、そんな学生限定のイベントである。そんなクソイベントが、我らが屋内活動クラブの面々にも、多少なりとも影響を与えるというのもやぶさかでは無かったりしたりしなかったり・・・。
「だるいから帰りたいに一票」
「米を賭けてどうするつもりだ?」
「その一俵じゃないって、いちいちツッコむのがだるいに十票いれるわ」
「・・・、そっか、ここはこうすれば・・・、よし、正解・・・」
「・・・、湯川さん、試験に意欲的なのね。何かのアピール?」
この棕櫚とかいう女、めちゃくちゃ感じ悪いな・・・。
「いや、別に、ただ・・・、一応成績は取っておかないと、今後に響くかなって」
「まぁ、そうだよな」
「真面目とかアピールとかじゃなくて、学生の義務みたいなもんだろ。ていうか、アンタは勉強しなくていいのかよ」
「私は別に必要ないわ。いつも授業に出ているもの。それに加えて、毎日ある程度予習復習しておけば、試験前だからって焦って必死になって寝不足になって馬鹿をみる試験勉強なんていう、とてつもなく無駄な時間は必要無いわ」
「この世の学生の殆どをさも当然のように敵に回したな」
「この世の学生なんて、私と善樹君しか必要無いわ」
「よし、この範囲は大丈夫そうかな・・・、もう一回復習して、次は・・・」
この湯川って子は、家でやった方がいいのでは?
「お、おい、善樹。ここ、わかんないん・・・、だけど・・・」
「ん?どこだ?」
「ダメよ」
「え?」
「そうやって善樹君の気を引こうだなんて、愚の骨頂だわ。恥を知りなさい咲川さん。まずは私が手本を見せるわ」
「は?」
「いい?よく見てなさい」
蜜鎖が俺に不敵な笑みを浮かべ近づいてくる。また何かされるのだろう。楽しみである。
「ねぇ、善樹君?私、なんだか落ち着かなくって、どうしてかしら・・・。善樹君の隣にいると・・・、ドキドキが止まらなくって・・・。ほら、触ってみて?すっごいドキドキしてる・・・。あッ、そんなッ・・・、激しくッ・・・、善樹君・・・。ダメッ、もっとッ、強くッ・・・。こんな感じよ。分かった?」
乳とは・・・、柔らかいモノなのだな・・・。
「ねぇ、今のって、どこら辺が試験と関係あったの?」
「保健体育の実技に関する基礎知識よ」
「おい善樹」
「はい、何ですか」
「今度その女の体触ったら、その部分削ぎ落すからな。汚いから」
「何?嫉妬?嫉妬なのね咲川さん。また醜い考えばかりしくさって本当に人生暇なのね。でも大丈夫よ咲川さん。善樹君は貴方のそのみすぼらしい体でもきっと、きっと許してくれるわ。頑張りなさい」
「コロスッ‼」
可愛い早生ちゃんをしっかりと羽交い絞めにし、優しい言葉をゆっくりかけてあげる。
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ~。早生がどんなに醜くても、見守ってるからなぁ ~」
「田中丸君、それ、フォローとして成り立ってる?」
「安心しろ湯川。俺は早生の事は誰よりも分かってる。多分」
「あ、自身無いんだ・・・」
「ほうら、早生もこの通り、大人しく・・・」
「なんか泣いてるよ?田中丸君の悪口言いながら」
「ほへ?」
「善樹なんて、善樹なんて・・・、川底にずっと打ち付けられながらライン下りすればいいんだ・・・」
凄まじい殺意・・・、かもしれない。
「あらあら、可哀想な咲川さん。善樹君に本当の事を言われて立ち直れないのね。可哀想に・・・。今日はもう帰りなさい。一人で」
最後の言葉いります?
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