take・28

「何?私が来てホッとした?」


そんなこと決して、絶対に、これっぽっちもない。


「そうそう、私がこの同好会の顧問?、を務める柿沢です、ヨロシクね」

「そういえばそうだったわね」

「この人があの人気の柿沢先生なのか」


誰か頭痛薬を持ってきてほしい。


「さっき偶然階段で会ってさ、そういえばと思って声掛けたらさ、顧問だって言うから一応来てもらっちゃった」


ついでに胃薬もほしい。


「みんな今は何してたの?善樹君」


あと、解熱剤なんかもあると嬉しい。てかみんななのか俺なのかどっちだよ・・・。


「まだ何も決まってないんだよ、そこのリーダーがポンコツだから」

「そうね、人の言う事に文句を言いたい放題言って、そのくせ自分はアイデアすら出さないしね」

「結局一番何もしてないよね田中丸君」


・・・・・・。


「善樹君、ちゃんとお仕事しなきゃダメよ?疲れちゃった?私の膝でおねんねしたい?そうする?」


まだ何も言ってねぇよ・・・。


「私のお胸でギュってしてあげたい?」


もうただの願望じゃねぇか。


「ちょっと貴方、流石にそれは良くないんじゃないかしら」

「何?棕櫚さん」

「それは教師としてどうなのかと言っているのよ」

「私は善樹君の女として言ってるの‼先生が生徒の心配するのは当然でしょ‼」


女なのか教師なのかはっきりしろよ。いや教師でいろよ。


「ここは私達で何とかするので、先生は一旦二度と来ないで頂けると」

「何でよ⁉」

「今日はありがとうな先生‼またな」


ガンッ‼


校舎が傾く勢いで閉め出された女教師は、小便漏らしそうなくらい涙目で職員室に帰ったらしい・・・。


「今日もチュー出来なかった・・・。ぐすん」


「あの教師、頭おかしいわ」

「アタシもそれには同感だ」

「個性的だけど、可愛い先生だよね」


何もしてないのに何か疲れた・・・。


「で、さっきから黙りこくってどうしたの善樹君?」

「何も無いなら帰るぞ」

「もう外掃除とかでいいんじゃない?」


ど、どうすれば・・・。もう一人の僕‼


「外掃除で」

「十日経ってやっと決まったのが掃除だなんて笑えるわね」

「まぁ、毎日やっても終わらなそうだし、毎日出来るな」

「うん、そうだね」


みんな前向きでとってもいい子だね。俺はちなみにやりたくないよ。


「じゃあめでたく決まったことだし、今日はこれでお開きということで」

「おっし、おつかれー」

「お疲れ様」

「それじゃあ、私も帰ろうかしら」

「おつかれ」

「待ちなさい善樹君」

「何?」

「手を貸して」

「はい」


「はい、このまま繋いで帰りましょ?」

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