take・27

「い、いいのか?新作なんだろ?今度だと新作ではなくなってしまうのでは?」

「いいよ別に。また何か作ってくるよ。その時には味見、お願いするね」

「ッッッ・・・・・・」

「・・・、なんだその悔しそうな顔。キモイぞ」

「またしても余計な事かましやがって」

「何が?」

「お前が変な事言い出さなかったらJKの手料理食えたんだぞこのアホンダラ」

「アタシの食べただろ‼あれだって立派なJKの手料理だぞ‼」

「何か違うんだよなぁ」

「何だよ言ってみろ、アタシが心の底から理解出来て心の奥底から涙出来るような真っ当な理由じゃなかったら躊躇無く殺す」

「多分お前のが一番美味かったよ」

「ほ、ホントか?」

「あぁ」

「そ、そうか・・・、じゃねぇよ騙されるか‼」

「あの~」

「何だよ‼」

「もうそろそろ昼休み終わっちゃうよ?」

「お、そうか。じゃあ早生ちゃん、勉強頑張れよ」

「チッ」


柄悪いギャルみたいな舌打ちをキメて早生は屋上から去っていった。結局ロクに弁当は食えないまま、俺の昼休みは終わりを迎えたのだった・・・。


 放課後の部活は意外とすぐやってくる。別に特別待ち望んでるとか、どうしてもやりたくてしょうがないとか、決してそういう訳ではないが、さらりと軽やかに俺達に歩み寄って来ていた。


「という訳で‼どうしようかと思う・・・」

「最初の無駄な語り含め、全く意味が分からないわ善樹君」

「あの~」

「はい湯川さん‼」

「ちょっと図書室に本返しに行ってきてもいいかな?」

「ぁ、いいですよ・・・、別に・・・」

「何でそんなに湯川さんに期待してんだよお前・・・」

「だって真面目に言葉発してくれるの湯川さんだけじゃん」

「どういう意味だ‼」

「そのままよ咲川さん」


そのままよ棕櫚さん。


「例えばこういうのはどう?生徒会と相談して、何かこの部に役割をもらうのよ。あまり触れたくないモノだったり、手が出しにくいモノを、ウチの部でやらせてもらうとか」

「それは嫌だなぁ~」

「当たり前のようにカス野郎だな」

「だって触れたくないとか手が出しにくいとかってさ・・・、絶対めんどいじゃん」

「それをダラダラやってれば多少時間は潰せると思っただけよ」

「俺にダラダラしてる時間なんて無いんだよな」

「一回病院で診てもらった方がいいぞ善樹」


早生さんはたまに、良い子のみんなが理解に苦しむ事を言う時があります。ご了承下さい。


「お待たせ~」

「善樹君、お待たせ」

「あぁ~あ」


冗談を言っているのも束の間、我が部の期待の新人が、我が校が誇るの異界の珍人を招き入れてしまった。

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