take・23
「それじゃあ、今日はこれで終わり。みんな気を付けて帰ってね、さようなら」
一日が終わり、皆それぞれ教室をあとにする。
「あ、そうだ湯川さん、部活の話なんだけど・・・」
転校生が俺と同じく、アホ教師に部活の説明をされて絶望しているようだ(勝手に想像しているだけです)。そんな可哀想な女の子は適度に見捨てる俺も、重い腰を上げる時はあるのである。
「よし、部室でも行くか」
「お、もう来てたのか」
「一年の方が終わるの早いみたいだからな」
「単細胞で集中力が微塵も無い咲川さんにはぴったりね」
「へぇ~、良く分かってんじゃねぇか。んで、どこからえぐられたい?」
もういちいち触れてやらないよ俺は。
「よし、今日は今後何に取り組んで行くかを具体的に決めていくぞ」
「どうせ言うだけ言って何も実行しないんだろ?」
「いや、一応多少はして行くぞ‼」
「やる気満々なのは素晴らしい事よ善樹君‼」
「ただのバカだなこいつら・・・」
そんな感じで進んでいくいつもの同好会である。濃いようで濃過ぎず、あっさりしているようで実は味わい深い、そんな活動を目指しています。はい。
「いい事言ったわ、俺」
「どこが?」
「いいんじゃないかしら」
「二人共絶対俺の話聞いてないでしょ・・・」
このコンビとの距離感の不安定さにはいつになっても慣れん。急に突き放される人間の身にもなってほしいもんだ。
「ていうかお前らたまには少しでも真面目に部活らしい事やれよな」
「多分誰しもがお前には言われたくないぞ」
「そうよ、貴方が何もやりたくないって言うから何も持ってこないのよ。何かやりたいというのなら、依頼の一つや二つ簡単に持ってくるわよ」
あ、僕のせいですかそうですか。
「わかりましたよお二方、じゃあ逆に、お二人は何かやりたい事はありますか?」
「そうね、ヤリたい人なら一人いるわ」
「早生さんは?」
「そうだな~、最初は・・・」
ガチャ。
「あの~」
「‼」
「誰?」
「はい?」
「ここって、やってますか?」
そこには、転校生の湯川栞が顔を覗かせていた。
「残念ながら貴方のようなメス相手にはやってないわ」
「メス・・・」
「いやいやどうもすいませんね湯川さん、是非やってますよ、めちゃくちゃやってるに決まってるじゃないですかぁ~、ささ、どぞ中へ」
「めちゃくちゃキモイなお前」
「そこ、うるさいよ」
「あの~、やっぱり帰りましょうか?」
「何を仰いますか湯川さん、入部希望で来て下さったんでしょう?僕は貴方をとても歓迎しますよ‼」
「歓迎だけに、ズバリ言っておくわ湯川さん」
「はい?」
「その男、ゲイよ」
「‼」
「あの、彼女を追い返したくて必死なのはとても良く伝わってくるのですが、その、何と言いますか、雑」
「何の事かしら?」
「それと、全く意味の分からないただただ誤解を生む事を言うの本当にやめてもらっていいですか?」
「さっぱりわからないわね」
「この状況でそういう事吐きやがるのは分かってるやつだけなんだよこのド底辺淫乱女」
「淫乱?」
今の所淫乱要素ないからそのツッコみもまた誤解を生むよ・・・。いや・・・、まぁいいだろう。
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