take・20

「という訳で、“屋内活動クラブ”をここに発足する‼」

「何それ?」

「ダサい」


・・・・・・、俺はめげない、めげないぞ。


「俺達は、屋内で行われる活動を主にやっていこうと思っている」

「何の説明にもなってないんだけど」

「私は大体わかったわ」

「おお‼流石蜜鎖さん‼」

「人には見せられないような行為をこの部屋で繰り広げ、それを作品として世に売り出すのでしょう?」

「もう売り出すとか言ってる時点でアウトだろ・・・」

「お前下ネタしか脳みそに無いのかよ⁉」

「あら、私は善樹君のニーズに合わせて言葉選びをしているだけよ」

「だとしたらとてつもなく大間違いだな」


相変わらず全然話が進まない。この我らが部室に来てからというもの、何もすることが思いつかず、まぁ適当にこれからの方針決めていきます的な会議をやればそれっぽいのでは?、と始めたただの俺の演説がなかなかに邪魔されて進められない。でも、結局何もすることが思いついていないことに変わりはないので、今いくら邪魔をされたところで特に問題は無い。クソ、何だか二人に場を繋いでもらってるみたいでなんか嫌だ・・・。


「そうだな、例えば、先生に提出したノートを教室まで運ぶとか、ロッカーの扉がちゃんと閉まってるか確認するとか、か、階段に手すりがちゃんと付いているか確認する・・・、とか、だな‼」

「要するに何もしたくないって、そういうことだな?」

「運動もしたくないし、コンクールにも出たくない。ただ部活はやらなくちゃいけない。まぁ、上手くそれをかわそうとしているのはわかるわね。というかバレバレね」

「頭が良いと言ってほしいね」

「あの担任と校長がバカで良かったな」

「そうね。この部活はとても都合がいいから、私は活動方針に全く文句は無いわ」

「何がどう都合いいんだよ?」

「だって、放課後の部活の時間は絶対に善樹君と二人っきりになれるって事じゃない?」

「おい、アタシを忘れるなよ?」

「貴方如き眼中にないわ」

「んだと?」

「だから、眼中に無いと言ってるのよ」

「お前、頭髪とマツゲ、入れ替えるぞ?」

「貴方がいくら近くにいようが私は善樹君と片時も離れることなく合体し続けるわ」

「そこ、ワケわかんない事自信満々で言うのやめなさい」


いとも簡単に俺の狙いを見破られてしまった訳だが、それを理解してくれるならそれはそれでこっちも都合が良いってモンだ。部活内で変にクソ真面目な奴がいてもやりづらい。限られた時間内で、どれだけより良い活動が出来るか、俺達のような部活にはそれが求められている。そういうことにしておく。


「よし、まぁ、あらかた活動方針は決まったので、今日はお開きという事で、おつかれした」

「早ッ‼」

「時間は効率良く使うんだよ早生君」

「じゃあ、帰りましょ善樹君♡」

「おうよ」


「お、おい‼ちょっと待てよ‼」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る