take・18
「随分と長かったわね」
「す、すまん」
何でそんなに人の家で態度がデカいのかわからないが、しっかりと先程俺が発案した罰ゲームを台無しにしてくれた蜜鎖さんがそこにはいた。
「あ、皿洗い終わってる・・・」
「何か文句でもあるの咲川さん?」
「帰ってきて早々喧嘩を売るな。それに、さっき早生を泣かせたのはお前なんだぞ」
「それは善樹君の私へのアピールがあまりにも行き過ぎていたからでしょ?」
「そのワケのわからない解釈を早生が真に受けて、泣いて飛び出したんだろうが。全く、二人共いい加減にしろよ」
「へへへ」
「何笑ってるのよ?」
我が家がやっと静かになった。女子二人はまたしても終わりの見えない言い合いを繰り広げているが、これも今となっては、静かになったという事と変わりないだろう。夕飯を食べながらも言い合いは収まることはなかったが、いつも通りの二人に戻ったのを見て、俺は何だか嬉しくなってしまった。
風呂上りとは、とてつもない疲れが襲ってくるものである。今の俺がそのいい例だ。本日は昇天なり本日は昇天なりと唱えながら、睡魔を完全体へと進化させる儀式の真っ最中である。カーテンもしっかり閉じられ、部屋の中は殆ど光の届かない完璧な就寝モードにセッティング済みである。残りの力を意識を飛ばす事だけに全て集中させ、あと少しのところまで来たその時だった。
「お、おい、善樹、もう寝ちゃったか・・・?」
そこには、女の子全開のパジャマを着た早生が立っていた。普通のJKならそこは中学の体操着とかだろ。(※個人の意見です)
「なんだ、どうしたんだよ?」
「たまにはさ、その、一緒に寝てやってもいいかなって・・・、さ・・・」
別に無理に俺と寝てやらなくてもいいんだぞ・・・」
「そ、そんな、無理とかじゃないし‼アタシが隣で寝てやるだけだし‼アタシが隣で寝てやるってことだけでお前だったら興奮が止まらないだろ⁉か、感謝してほしいくらいだし‼」
「興奮したら眠れねぇだろうが・・・」
しかも、今の早生の声で完全に目が覚めてしまった。俺の努力を返せ。
「わかった、別に一緒に寝るのはいいからさ、早く寝ようぜ?なんか今日は疲れちまったよ」
「お、おう」
体を放り投げるように俺はベッドに勢い良く倒れこむ。そして、その横に早生が何だか恥ずかし気にそろりと入ってくる。
「へへ、こんなの子供の時以来だな」
「何が以来だ、まだお前は子供だろ」
「な、何だと?アタシだってもう立派な大人だぞ」
「ふッ、どこがだよ?」
「クラスでだってみんなからある程度頼りにされてるし」
「ある程度かよ・・・」
「野菜だって前よりかは食べるし」
「その思考自体がガキだぞ・・・」
「む、胸だって、クラスの中で、結構大きい方・・・、だし・・・」
「あ、そう。おやすみ」
「おい‼なんだよそれ‼馬鹿にしてんだろ‼」
「デカい声出すなって。デカいのはそのご自慢の胸だけで十分ですよ」
「ゼッテエ馬鹿にしてんなお前おい。この賞味期限切れの腐れ童貞野郎が。もう触りたいとか言っても絶対触らせてやんねぇからな‼」
「え?」
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