第16話 決着
シールドを破壊するため初級魔法であるフレアバレットをマテリアルシードで限界までブーストし、自分の身長と同程度の大きさまで肥大させ、学院長に向けて放とうとしていた。
「いけぇぇ! エクストラ・フレアバレット!」
超特大の燃え盛る火炎球を頭上に掲げ投げ飛ばし、猛烈なスピードと超高熱の火炎球が学院長に襲い掛かる
「くっ、こうなったら破れかぶれだ」
両手で全力の魔力を込めた障壁を出すも、いとも容易く高熱でシールドを溶かし無力化させ、アイヴィに触れた瞬間大爆発を起こした。
「ぐぁぁぁぁぁぁ」
学院長は爆風で吹き飛ばされ・・・・受け身も取れず床に叩きつけられた。
「はぁ・・はぁ・・・」
終わったかな。だが、すぐ治療しないとまずいかもしれない。
『フィオ、回復魔法頼む』
俺は念話でフィオを呼ぶ
『は、はい!直ぐに向かいます』
「ちょっとやりすぎたかな。でもまあ悪く思わないでくれよ。煽ったの学院長だし」
少し申し訳なさを感じながらも、実力を認めさせる為に全力を出したことに関して後悔はしていない。
もし、これでもダメなら、もう冒険者で世界を渡り歩いてやろうと考えていた。
俺たちを殺した犯人を捜す目的もあるから・・・
「お待たせしました」
「すまない、フィオさっそく頼む」
「随分と派手にやりましたね」
苦笑いをしながら魔法詠唱し始めるフィオ。
「学院長が煽るからやむを得ずだ」
アイヴィに近づき、お腹の部分に手を当て治療魔法の準備に取り掛かる
「アクアヒール」
フィオは水属性が得意で、回復もお手のものだ。見た目も佇まいも癒されて魔法も癒すとか最高だろ。
俺は傷の具合を見る為、学院長の元に近寄ろうとした。
「レン様、こちらに近づいてはなりません」
「えっ、なんで?」
言われて立ち止まったが、なぜ止められたかの理由が思いつかなかった・・・が、立ち止まった場所からでも倒れている学院長の姿がほんの少し見えてしまった。
「あっ・・・」
「レン様・・・まさか、こうなるのを予測して、あの魔法を撃ったのですか?」
「え、あ・・いや、そういうつもりは全くなかったんだがな」
ちょっと、フィオの声のトーンが低いのだが、もしかして怒ってる?
実のところ、学院長の服が至るところ燃えていて、肌の露出や下着が見えていた。
「へえ~ そうでしたか~ ワザとじゃないのですね?」
「あ、ああ・・・もちろんだよフィオ! 俺がそんな疚しいこと考えるはずもない」
どうしたことか、フィオが俺の言葉を全くと言っていいほど信用していない気がする。
「てっきり私は、レン様の理想の女性が学院長みたいな方で、スケベ心までブーストさせて衣服をはだけさせたのかと思いました」
「いやいやいやいや」
俺は首を何度も横に振り全力で否定した。
というか、どんだけ想像力豊かなんだフィオさん。スケベ心をブーストって・・・・・つか、そんなことできるのか?
「あっ・・・今、何か良からぬことを妄想しましたね?」
「してない、してない、したこともない!」
あ~ これ脱出不可能?
「・・・うっ・・・・ぐすっ」
え~ 今度は泣きだしたぁぁ・・・ちょっと情緒不安定過ぎない?
「ちょっ、フィオ・・・なんで急に泣き出す・・・」
フィオの泣き顔に弱い俺は慌てふためいてしてしまう
「だって・・ぐすっ・・童顔でちんちくりんな私より、美人でちょっとワイルドな学院長が好きなのですよね?」
「いや、だから違うって・・・美人よりも、可愛くていつも俺のことを考えて尽くしてくれる心優しいフィオの方が好きだよ」
あぁもう、言ってて恥ずかしいわ。
「ほんとですか?」
泣き崩した顔で、上目使いで俺を見上げるフィオ。
あぁもう、それ可愛いな!
「ああ、ほんとだとも!」
「ほんとに?」
「ああ、ほんと・・・」
『バシッ』
「あいた!!」
突如、後ろから頭を叩かれた。
振り向くとマリアが立っていた・・・怒り気味に
「なに、夫婦漫才みたいなことしてるのよ! ほら、学院長が目を覚ますわよ」
「ごめんなさい」
なんだか理不尽な気がする。
「う・・・わ、私は・・・」
意識が戻るアイヴィ。だが、まだ虚ろだ。
「学院長、大丈夫ですか?」
「レン君・・・確か君の魔法で・・・」
「ええ、ちょっとやりすぎてしまいましたね。ごめんなさい」
「いや、構わないよ。君の魔力に抵抗できなかった私が弱いだけだよ」
そう言って、立ち上がろうとするアイヴィ。
「アイヴィ様、これを」
いつの間にかマルコスさんが、着替えを持ってきていた。流石は秘書というべきか。
何故服を? と感じたアイヴィは下を向き、自分の今の姿を見て納得がいったようだ。
「これは・・・私が気絶している間に、君がこういうことするとはね。見損なったよ、レン君。非常に残念だが入学の件は無かった事にするしかないようだね」
「まてまてまてまて」
どうやらROUND2がFIGHTされたようだ。
「そんなことするわけないでしょう。こんな何人もの人がいる所で」
「人がいなければするんだね」
墓穴ほった。
「し・ま・せ・ん」
「すまないレン君・・・これでも私には愛すべき夫がいるのだよ。だから・・・ゴメンナサイ」
「謝るな! なんか俺が告白して振られた惨めな男に成り下がっているじゃないか!」
「レン様、やっぱり・・・」
ああ、もう収集つかない。
「んもう、早く話進めてくれないかしら」
呆れ果て、冷めた口調で言い放つマリア。
「フフ、ごめんね、マリア君。負けた腹いせにちょっと虐めただけさ」
なんだよ、根に持ってんじゃね~か!
「・・・合格だよ。文句なしにね」
俺たち3人は無言で見つめあい微笑んだ。
「ようこそ! 王立ソルシエール学院へ!」
「君たちのこれからの活躍を楽しみにしているよ」
これで、俺たちは晴れてこの学院の生徒となった。
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