第126話大会初日の終わり1
俺達A会場の選手たち8名は、スタッフさんが運転するハイエースに乗車している状態だ。
部活や課外活動に付きそう引率教師のように、俺達の世話役を言いつけられたであろう、年若い男性スタッフが説明をしてくれる。
当然そこにはカメラもある。
俺たちは、
数少ない女子達は、メイクさんによってバッチリ化粧を整えられ髪も盛られている。
男子たちはそのあまりの変化に、若干顔を引きつらせつつも鼻の下を伸ばしながら粉を叩かれ、カメラ移りが良い様にされていた。
これのどこが自然体の舞台裏なのだろうか?
「本日は皆お疲れ様でした。初参加の人も二回目だよって人もいると思います。今日は疲れたでしょうけど明日からが本番です。明日は残りの32人で試合をしてもらうので、時間に余裕がある! っと言いたいところですが、大学生の参加人数が多くて高校生の大会を詰めて行う事になっていますので、そのつもりでお願いします……」
「「「「「「「はい」」」」」」」
――――と俺以外の皆が揃って返事をする。
つまり、今日以上に精神や体力、魔力の消費を考えないといけなさそうだ。
とほほ……これなら切り札として温存するのではなく、【
「じゃぁここからの32試合はAMEVATVの大会動画として放送予定なので自己紹介をお願いしようかな? じゃぁ先ず一番右側の子から……まず年齢と学校、学年を教えてくれるかな?」
すると俺達の視線とカメラが彼に向いた事が分かった。
夏の日差しで焼いたのか、日焼けした色黒の肌は、黒いTシャツや白いズボンの上から分かる程パンパンに発達しており、鍛えられている事が分かる。
少し平たい顔ながらもやや顔付きはゴツく、髪が長い時の野球部ほどの髪の長さも相まってややイカツイ印象を受ける。
「18歳、東京都立武蔵野学園高校二年の西寺浩二です。中学時代は水泳部をやっていました特技は空手と柔道です」
「この大会に対する意気込みを聞かせてくれるかな?」
「はい。僕の目標は王道を征く優勝ですねぇ、そのために日々過酷なトレーニングを積んできました。今年から医学部受験のために勉強に専念するので、今回か冬大会が最後なので悔いのないような結果を残して行きたいです」
「ありがとうございます。まさに文武両道の西寺選手の活躍に期待したいですね。では次の方お願いします」
次に指名されたのは、薄い茶髪の美少女だった。
学年は……その顔付きのせいで分からない。白人とのハーフらしくやや顔がやや大人っぽいからだ。
美しい茶髪は肩まで伸びており、右側でサイドテールに結い上げている。空色の大きな瞳はまるでサファイアの様である。肌も日本人離れしたように白く、背格好も読者モデルのように高くゆったりとした私服の上からでも分かる程その胸は大きい。
日本人男性の多くが好むようなハーフ顔だ。
いやはや中々大きなモノをお持ちで……眼福です
「16歳、聖グロリアーナ女学院付属高校1年生の小倉・ブリュエット・
何と言うと強烈なキャラをしている。
美少女ハーフで、帰国子女……オマケにお嬢様言葉と彼女のキャラは聳え立つパフェのようだ。
「では意気込みをお願い致します」
「承りましてよ! 目指すは優勝! それ以外眼中にありませんわ! もしもわたくしの
………
……
…
「正に高校生活の最後の年の集大成と言う事ですね……まだ冬大会もありますが選手の更なる活躍に期待したいところです……では次の方お願いします」
カメラが寄る前に表情を作り鼻から息を吸い込む。
周囲が静かになるまで俺はただの一言も言葉を発する事はない。
「16歳XX高校一年の加藤光太郎です。探索者歴は一か月強ですが他の選手に負けるつもりはありません!」
そういうと俺は今までの身振り手振りを辞め、太腿に拳を叩きつけパンと肉同士がぶつかる音を立てる。
「なぜなら僕の愛する妹は、ある病魔に侵されているからです……」
そういうと俺はわざとらしく目を伏せ、右手で目元を覆うとペットボトルに付いていた。水滴を目元に付けてあたかも感極まって泣いたように見せかける。
これだけでは終わらない……空いた左手で全力で腿を摘まみあげホンモノの涙を流す。
こうしないと瞳が充血しないからだ。
「『
大会の後の疲労状態、大きく目を引く身振り手振りに特徴的なフレーズとサクセスストリーを語るという、近代で最も成功したと個人的に考える、演説家を参考にしたテクニックを交えて語る。
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