第149話アフター1 遊園地とこれまで……1


 あれから数週間後、長い夏休みも残すところあと数日。

俺達は妹の快気祝いと言うことで遊園地に着ていた。


「……なんで伊勢にある方の遊園地なんですか?」


「東海地方って何気に遊園地多いのよね。

ジ〇リパークに、レ〇ランド、玩具王国、鈴鹿、名古屋領と名古屋民が思い込んでいるナガシ〇スパーランド、いっぱいあるわね。」


「犬山のリトル〇ールド、日本モンキ〇パーク、ラグ〇ナ蒲郡がまごおり静岡しぞーかの浜名湖パ〇パル、山梨の富士急〇イランドだってそこそこ近くにありますし、アクセスの良さだけで言えば千葉と大阪に国内最大級のものがありますよ……」



 妹が元気だった頃の家族旅行でも、志摩しまにある遊園地? テーマパークにはかなり行った。

かなり通った為、個人的に不服である。



「お兄ちゃん去年の春休み中、バイク免許で車校(自動車学校)に通ってる最中、推しの配信者がコラボしてるからここに行っていたよね?」


「――――ぐっ!」



 そう。何を隠そうつい5か月ほど前に俺はこの遊園地に遊びに来ていたのだ。

 


「近くにある水族館じゃだめなのか?」



 近くと言っても車で1時間ぐらいの距離にある水族館にはトドやアザラシ、イルカ、ラッコなどの海獣や様々な魚類がいる。

 ショーのレベルも比較的高いのでそちらでもいいのではないか? と思っていた。



「イルカなら南知多にもいるでしょ? メ〇夫くんはこっちにしかいないでしょ」


 〇リ夫くんと言うのは地方テレビのマスコットキャラで、スナメリという小型の鯨をモチーフにしている。

 父はビニール袋を食べて死亡、母は海が汚くてはぐれてしまい母を探すために二本足になって歩行している。という中々ダーク設定なキャラだ。



「多米の方からでてるフェリーで野生固体をたまに見れるらしいですよ。因みに伊勢側の船着き場には伊勢シーパラダイス。水族館があります」



 流石、中原さん。無駄に詳しい。



「別に水族館と伊勢神宮は二日目に行けばいいでしょ? テーマパークの直営のホテル取ってるんだし……それにしても安いわよね~千葉や大阪に比べて、朝食サービス付きで二人で約一万円からで泊まれるなんて、まぁ最大の欠点は安価な方はレストランが無いことなんだけど……」



 そう!このパークはホテルが二つあり、リーズナブルな方と高い方(スイートで8万円、普通の部屋でレストラン付きで2万~)とテーマパーク系と考えれば常識的と言えなくもない金額だ。



「でも今回取ったホテルはご飯ありの方ですよね?」


「そうそう、まぁ私レベルの探索者からすれば全員分の旅行代金払っても痛くもなしいしね。まぁコータローもそういえばそうか……」



 大会が終わってから、俺の日常はがらりと変わっていた。

 先ずは俺と師匠や、俺と妹で雑誌やWEB、地上波でのインタビューを受けたりしている。


 その影響でネットでは、『クソ陰キャ』とか『ハーレムクソ野郎』、『刀使い』『やべー女の弟子』などと言われている。

 まぁ行き過ぎた誹謗中傷はテレビ局を通じて、法的措置(少額訴訟)を随時行っているので問題はないのだが……


 そういったメディア露出の影響でSNSのフォロワー数は鰻登りになっている。

 そのおかげでほぼ無言のダンジョンのライブ配信でも、500人程度の視聴者がおり、特別なチャットを有料で書き込める“投げ銭”機能などで一日数万~十万円程度の副収入がある。


 エキシビジョンマッチとして大学生の部を優勝した、芹沢嗣治せりざわつぐじさんと対戦することになっており気が重いのだ。

 俺はレベル3、芹沢選手は大学生と言う時間がある事をいかしてゴリゴリにレベリングをしており、負けることは鼻から決まっている文字通りの負けイベントがあることも、イマイチこの小旅行に乗り切れていない理由だった。



「師匠が紹介してくれたバイトの御蔭ですよ」


「推しと私の近くに居ながらお金を稼げる。いい職場でしょ?」


「ええ全く、カメラマンでもないのに最近はカメラマン役をやらされることも多いですしね」


 

 師匠と月壬麻那花つきみまなかさんの番組で、雑魚モンスターが撮影場所に近づいてこないようにする。露払いとして雇われたのだが気が付いたらたまにカメラを構えていたり、俺の戦闘シーンが番組で使われていたりする。

 事実上の番組メンバーになってしまっている。



「嫌だわ、嫌だわ仕事の話はやめにして今日は全力で遊ぶわよ!」


「「おー!!」」



 ――――と何気に仲良くなっている3人。20代、10代後半、10代前半と傍からみれば年の近い姉妹。と言えなくもない三人は俺を置き去りにして、スペイン風の建築物に囲まれた商店街を駆け抜けていく……



「あ、動画で見た事ある世界で一番美味しいチュロスだ!」



 チュロスを食べ慣れていないこともあって、確かに美味しかった記憶がある。



「プレーンにチョコにストロベリーと丁度三つの味があるわね!」


「お二人がよければ三人でシェアしませんか?」


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