第122話大会四回戦4
「それが君の《魔法》かい? ピカピカと派手に光るようだけど光るだけなら、蛍やアンコウにだって出来る」
「言ってろ! そういうアンタだって下品なネオンみたいに光ってるじゃねーか!」
「君のチンケナ《魔法》と違って僕の《魔法》は、汎用性があってネタが割れても問題ないんだ」
「付与《魔法》【
俺のその言葉に新見選手の顔色が変わる。
「恐らく熱量の解放と、毒か呪いを極小領域に瞬間的にばら撒くんじゃないか?」
「……」
恐らく俺の想像が当たったのだろう。
「お前のその減らず口を今すぐ閉じろ!」
「二人称が君からお前になっていますよ……図星ですか」
「貴様ぁぁぁああああああああ!!」
そういうと剣を上段に構えたまま走り込んでくる。
掛ったな……
「『信じた未来が崩れさり悲しみを繰り返す
刹那。
新見選手が
――――不味い!
この試合のルールでは致命傷判定を受けなければ戦い続ける事が出来る。
だから左足を軸にして、側面や背後からの攻撃に備える。
「――――なーんてね。今までのタックルは本気じゃない。ワザと見切れるレベルで打ってやったんだ。今から見せるのが俺の必殺コンボだ!」
そう叫びながら左半身を盾に隠しながら、凄まじい速度で突進してくる。
――――と言いながらも
よほどあの体制で走り込みの練習をしているのだろう。
全くブレる事のない姿勢、その努力には敬意を評したい。
新見選手の剣術は
盾を構え突進し相手の攻撃を受け、一撃必殺の剛剣で相手を撲殺する事を目的にした、地味で堅実な流派のハズだ。
シンプル故に高レベルの ”捌き” を求めない。
例えるなら、特定の1,2コンボが使えるだけで”対戦で使える”格ゲーキャラと表現してもいい
今回リング内と言う制約の中、先輩が出した結論。
シールド
シンプルに強い3コンボ。いや、シンプル”だから”対象が難しく強いのか…
ゲームなら運営がバランス調整に失敗したような仕様だ。
なんだよ! このクソゲー仕様は……
ただ、相手は間違いなく近接攻撃しか出来ない
そう!
抜刀術による神速の一閃を以って、何をしたのか気取られる前にカタを付ける!
野太刀、
俺は呼吸を整え意識を集中させる。
《スキル》【
ドン! と言う轟音が会場に鳴り響き、俺が蹴り出した床板のコンクリートは破砕され、コンクリートの粉塵と破片がパラパラと舞い落ちる。
特訓の成果として深く
空中で横回転しながら、鞘から刀を閃かせる。
刹那。
「『
聖句を引き金にして、
まるで鞘走るように抜き放たれく、
刹那。
雷光の如き一閃――――
視認不可能なレベルで繰り出された。空間を切断するが如き必殺の一撃が放たれ、砲弾のような勢いで迫りくる新見選手の盾目掛け刀を振りぬかれた……
ジジジジィ――――。
慣性に従い進行方向に対して後ろを向いて着地する。
直ぐ様互いに向き直るが、《スキル》【
足首に多大な負担を掛けつつ再び、《スキル》【
ドン! と言う轟音が会場に鳴り響き、俺が蹴り出した床板のコンクリートは破砕され、コンクリートの粉塵と破片がパラパラと舞い落ちる。
再び閃いた金閃は稲妻の如き速度で新見選手を攻撃した。
次の瞬間には新見選手は場外にいた。
どうやら、初めてKOできたようだ。
『新見選手の魔法道具による移動を確認しましたので、加藤選手の勝利を確定します!』
レフリーの発言を聞いてから俺は愛刀を鞘に納刀する。
『まさかまさかの今大会何度目か分からない大番狂わせ! 探索歴二年半の猛者に勝利したのは探索歴一カ月の新人! 加藤光太郎選手!! 会場の皆様、健闘した両者に惜しみない拍手を!』
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