エピローグ1-?

第144話JSUSA本部1

 

 本日は日本特殊地下構造体協会JSUSAジェイスーサ本部に、立花さんと移動中。

市谷いちがやから少し離れた立地だが、利便性やコストを考えて現在の建物が選ばれた……と嬉しそうに話してくれる。


 個人的に”市ヶ谷”と言うと自衛隊や靖国神社、それに三島事件のイメージしかなく、ここにくるまで市ヶ谷が新宿にあるなんて全く知らなかった。

 


「東京はゴミゴミしてるけど、その辺に何でもあってやっぱり便利だわ!」



 ――――と二週間と少し振りの東京を満喫しているようだ。

 スマホで調べて見ると、JSUSAジェイスーサの本部がある理由は、防衛省や永田町から近い事もあるようだ。



「ここが本部ビルよ」



 ガラス張りのビルに俺は圧倒される。



「ホラ、おのぼりさん見たいに緊張してないで早く来なさいよ……中学の修学旅行で東京には一度来てるんでしょ?」


「ええまぁ泊ったのは、ヒルトン東京お台場ですけど……」



 遠慮気味に答える。



「ヒルトンかぁ……テレビ局と確かガ〇ダムと東京国際展示場(東京ビッグサイト)が近くにあるわね……」


「コミケ……」



 俺はグラディエーターのせいで、コミケに行けなかった事を思い出して少し悲しくなった。



「コミケはしょうがないじゃない。日程がかぶってたんだもの……」


「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」



 ぎゅるぐゅると革製の手袋が擦れるような音を口で立てて、少し腰を落とした半身の状態で拳を握り込み、変身ポーズのマネをする。

 探索者の高い身体能力のおかげで、動きのキレは抜群によい。

 それを見て立花さんは「はぁ……」と呆れたように溜息をついた。



「太陽の王子でも、創世王でもいいけどさ……コータロー君って本当に筋金入りのオタクだよね……」


「特撮オタクからは足を洗いましたよ……ライダーは初代~ロケットまでと、飛んで令和一号、黒い太陽までですリメイク版の密林は見てません。光の巨人だって大怪獣バトルまでですし……戦隊に至ってはシンケンまでですから既ににわかですよ……」


「シンライダーだってまだ見てませんし……」と付け加える。


「うん、君が特撮を『好ましくないモノ』だと考えていると理解できたよ。それと君が元特撮オタクでなのが分かったよ……まぁこれならあの人ととも話が合いそうだね……」


「あの人?」


「そう、これから合うお方……ダンジョン庁の外部アドバイザー兼JSUSAジェイスーサの技術顧問なのよ……」



その人物を思い出したのか、心底面倒臭そうな表情を浮かべる。



「……随分と凄い方が会ってくれるんですね」


「私の口添えだけならあの人は出てこなかったでしょうね……君のあっての事だと思うよ」


「は、はぁ……」



 そんな事を話しながら受付に向かう。

スーツ姿の男女が応対をしており、その所作はホテルマンかと見紛う程だ。

 

 ここって役所の関係だよな?



「ほら行くわよ!」



 そんな事を話していると、受付の女性とのやり取りは終わっていたようでエレベータに向かっている。



「はい行きます」


 エレベーターに乗りこんだ。



………

……



 エレベーターから降りと、廊下に出た。窓を見ると高層ビルの上層階の景色が良く見え、何だか少し自分が偉くなったような気分になる。

 少し豪奢なドアをノックすると、「どうぞ」と短く返事が聞こえて来た。

声音を聞く限りとても老人とは思えない、秘書だろうか?



「失礼します」



 先頭の立花さんがドアを開ける、つい数か月前にやった面接を思い出して丁寧にドアを閉め、ソーファの前に立花さんと同じく立った。



「よく来てくれた。私はナダル・ショーン・スペンサー、この国日本でダンジョンに関わる仕事をしているものだ。

さぁ座ってくれた給へ」



 そう言った男性は、白人とも黄色人種とも付かない肌色と顔付きであった。最もその謎を深めているのは、その尖った耳だった。他に例を上げるとすれば、青や緑と表現するべき瞳の色をしており、金髪の明るい髪色そして、どこの国か分からない民族衣装んみ身を包んでいる点だろうか?

 耳の形状は一応“美容整形”で納得できる。

肌の色も混血だったりメイクと考えれば一応納得できる。

 緑色の瞳は、北欧や中欧に多いと聞いた事がある。

確か世界で2%ほどしかいないとか……

 民族衣装は、俺の知識がないだけだろう。

 

 冷静に考えてみると、世界人口の2%しかいない緑瞳の色に、エルフ耳の整形手術をしている妙齢の男性がこの地球上にいるのだろうか? と疑問に感じる。



「はっはっはっはっは! どうやら驚いてくれたようだな。

私は異世界よりこの地球に流れ着いた亡命者の一人でね。

この世界ではエルフ族と名乗っている民族の一人だ! 

加藤光太郎くん、君に世界の秘密を教授しよう」



 そう言うと「話は長くなる……コーヒーでもどうかね?」

と言ってくれた。

「ありがとうございます。では頂きます」と答え暫くするとコーヒーが配膳される。

そんな珈琲香る中、エルフ族の男ナダルは話はじめた。




============


【あとがき】


 終わらないで欲しいとのお声を頂きましたのでエピローグを当初の予定より加筆し、時期が未定ではありますが状況によっては連載を続けるかもしれません。が、ストックもあまりありませんし、次の章のプロットを誤って消してしまったので今すぐの連載継続は難しいです。

 なにより他に書きたいものがあるので……

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